economics

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佐藤優, いま生きる「資本論」

読む順序が逆になってしまったが、いま生きる階級論の前著。 1930年代の日本資本主義論争まで遡った資本論の読み方を説く。天皇制の打破による日本の資本主義社会化の後に社会主義革命を目指す講座派と、すでに権力の実態を持っている財閥を即座に打破する社会主義革命を志向する労農派。それらの対立が資本論の読み方に強い影響を与えている。 人生を楽にするために資本論を読もうという提案も興味深い。資本主義のからくりを知ることは、資本主義社会の中で自分の置かれた状況を客観視することにつながる。資...
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植田和男, 大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる

見開きごとに一つのキーワードを解説する形式で気軽に読める。金融の基本から金融政策まで一通りカバーされているのも良い。内容も真っ当で、教科書としてもお勧めできる。
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田渕直也, 投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について

デリバティブ出身の著者による投資と金融のガイドブック。投資のヒントや今までの常識を見直すきっかけが詰まっている。 効率的市場仮説は完全に成り立つものではなく心理バイアスによって歪められているが、ほとんどの人は市場の不合理性を突いて勝つことはできない。ファンダメンタルズ分析も万能ではなく、株式アナリストが推奨する銘柄が取り立てていいパフォーマンスを残している証拠はない。 テクニカル分析 (チャート分析) で将来を見通すことはできないが、投資アイディアを引き出すためには有効。また...
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橘玲, 「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探検する

複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の進歩が "知のビッグバン" 起こした後の本を中心に読むべきという主張。 特に進化論を高く評価しており、遺伝学、脳科学、進化心理学、行動ゲーム理論、行動経済学などが進化論を土台に融合しているとみなしている。専門の科学者ではないので論理の飛躍が多いが、言わんとしていることは理解できる。
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マティアス・ビンズヴァンガー(著), 小山千早(訳), お金と幸福のおかしな関係

経済学者による幸福論。 カーネマンらによる幸福研究はセックスなどの行動が幸福感を向上させることを明らかとしたが、ブランチフラワーやオズワルドの調査では収入とセックスの頻度には関係がないことがわかっている。人を幸福にする他の行動も、収入とともに増えるどころかむしろ減っている。 ランク付けはさまざまな活動をステータス競争へ変え、内在的なモチベーションを殺し、その活動に関わる人々の幸福度を下げる。フィギュアスケート、学術研究などが代表例。 トレッドミルは経済成長の源泉でもあるが、同...
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クラウディア・ハモンド(著), 木尾糸己(訳), MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実

行動経済学や心理学の研究成果をもとにお金と心の関係を探る。 金銭的インセンティブの研究から、出来高制の報酬はある水準を超えるとうまく機能しなくなることがわかっている。人は報酬の対象とならない努力をしようとしなくなる。 子供の教育に関する研究も面白い。単に良い成績にお金を出すのではなく具体的な課題の達成にお金を払うことが成績向上につながる。また、子供の成果を褒めるよりも、努力や取り組み方を褒める方が効果的。 金銭感覚が似ている夫婦は幸福度が高い。離婚の先触れとなる最大の要因はお...
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佐藤優, いま生きる階級論

新潮講座の内容を書き起こしたもので、資本論の読み方を契機に様々な教養を説く。 マルクス経済学では、労働力商品の対価すなわち賃金は生産論で扱われ、分配論には組み込まれない。 賃金は生活費、再生産費、自己教育費から成り立つもので、富の分配ではない。 資本主義の論理に巻き込まれると、死ぬまで働かされるというスタイルになってしまう。 資本主義社会には自己実現などない。 ここから抜け出すもっとも現実的な方法は、職人、画家、作家、開業医、ラーメン屋のような労働力が商品化されていない世界の...
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ティム・ハーフォード(著), 遠藤真美(訳), 人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

世の中の一見不合理な行動を行動経済学で解釈する試み。ジャーナリストの著作だが、研究による裏付けもしっかりしている。 特に興味深いのは、企業の給与体系とそれに伴うインセンティブの分析。広く普及しているトーナメント型のインセンティブが士気を高める一方で裏切りを生み出すことも、行動経済学の視点で見ると合理的であることがわかる。
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KAPPA, 超・株式投資

東大卒医師が教える科学的「株」投資術の続編。 まずは長期投資でリスクが減るという説の検証。リスク (ボラティリティ) の絶対額は投資期間長期になればなるほど広がるという考えてみれば当たり前の話。 期待リターンが同じであっても 標準偏差が大きいほど損する投資家が増えることが示され、投資対象の標準偏差が非常に重要であることがよく分かる。やはり長期投資の優位性はリスク低減よりも売買コストの削減や課税繰延効果などにあると考えるべきだと思う。 いくつかのアノマリーについても検証されてお...
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), 続・レモンをお金にかえる法

レモンをお金にかえる法の続編。 前回の経営学から打って変わって経済学のお話。インフレと不況の発生メカニズムとその対処法が主題。ケインズ主義の立場からの対策のみだが、巻末の解説で訳者がその限界にきちんと触れているのは良心的。