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マティアス・ビンズヴァンガー(著), 小山千早(訳), お金と幸福のおかしな関係

経済学者による幸福論。カーネマンらによる幸福研究はセックスなどの行動が幸福感を向上させることを明らかとしたが、ブランチフラワーやオズワルドの調査では収入とセックスの頻度には関係がないことがわかっている。人を幸福にする他の行動も、収入とともに増えるどころかむしろ減っている。ランク付けはさまざまな活動をステータス競争へ変え、内在的なモチベーションを殺し、その活動に関わる人々の幸福度を下げる。フィギュアスケート、学術研究などが代表例。トレッドミルは経済成長の源泉でもあるが、同時に幸...
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クラウディア・ハモンド(著), 木尾糸己(訳), MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実

行動経済学や心理学の研究成果をもとにお金と心の関係を探る。金銭的インセンティブの研究から、出来高制の報酬はある水準を超えるとうまく機能しなくなることがわかっている。人は報酬の対象とならない努力をしようとしなくなる。子供の教育に関する研究も面白い。単に良い成績にお金を出すのではなく具体的な課題の達成にお金を払うことが成績向上につながる。また、子供の成果を褒めるよりも、努力や取り組み方を褒める方が効果的。金銭感覚が似ている夫婦は幸福度が高い。離婚の先触れとなる最大の要因はお金に関...
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佐藤優, いま生きる階級論

新潮講座の内容を書き起こしたもので、資本論の読み方を契機に様々な教養を説く。マルクス経済学では、労働力商品の対価すなわち賃金は生産論で扱われ、分配論には組み込まれない。 賃金は生活費、再生産費、自己教育費から成り立つもので、富の分配ではない。資本主義の論理に巻き込まれると、死ぬまで働かされるというスタイルになってしまう。 資本主義社会には自己実現などない。 ここから抜け出すもっとも現実的な方法は、職人、画家、作家、開業医、ラーメン屋のような労働力が商品化されていない世界の小商...
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ティム・ハーフォード(著), 遠藤真美(訳), 人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

世の中の一見不合理な行動を行動経済学で解釈する試み。ジャーナリストの著作だが、研究による裏付けもしっかりしている。特に興味深いのは、企業の給与体系とそれに伴うインセンティブの分析。広く普及しているトーナメント型のインセンティブが士気を高める一方で裏切りを生み出すことも、行動経済学の視点で見ると合理的であることがわかる。
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KAPPA, 超・株式投資

東大卒医師が教える科学的「株」投資術の続編。まずは長期投資でリスクが減るという説の検証。リスク (ボラティリティ) の絶対額は投資期間長期になればなるほど広がるという考えてみれば当たり前の話。 期待リターンが同じであっても 標準偏差が大きいほど損する投資家が増えることが示され、投資対象の標準偏差が非常に重要であることがよく分かる。やはり長期投資の優位性はリスク低減よりも売買コストの削減や課税繰延効果などにあると考えるべきだと思う。いくつかのアノマリーについても検証されており、...
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), 続・レモンをお金にかえる法

レモンをお金にかえる法の続編。前回の経営学から打って変わって経済学のお話。インフレと不況の発生メカニズムとその対処法が主題。ケインズ主義の立場からの対策のみだが、巻末の解説で訳者がその限界にきちんと触れているのは良心的。
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ケネス・S・ロゴフ(著), 村井章子(訳), 現金の呪い 紙幣をいつ廃止するか?

高額紙幣を廃止しレスキャッシュ (キャッシュレスではないことは再三言及されている) を実現することで、現金の犯罪利用を減らし、同時にマイナス金利などの金融政策が可能となるという主張。平易な文章ながら専門的な議論もしっかりと押さえられており、データの裏付けも豊富。様々な公的調査を組み合わせる搦め手で現金がどのように利用されているかその実態をあぶり出しており、発行枚数と各家庭の実際の現金所有との大きなギャップから非合法な目的の現金利用を推定している。高額紙幣の廃止によるレスキャッ...
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佐藤雅彦(原作), 菅俊一(原作), 高橋秀明(画), 行動経済学まんが ヘンテコノミクス

流行の経済学をまんが形式で。ヘタウマ系のユルめの印象だが、内容はまとも。行動経済学を体系立てて学べるような本ではないが、人に話したくなるような小ネタを探している向きにはおすすめできる。
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三木義一, 日本の税金 新版

直球のタイトルだが、その看板に偽りなし。日本の税金がどのような仕組みで成り立っているかが高い視点から解説されており、小手先の節税本などとは一線を画している。即座に役に立つ本ではないが、税の基本を学ぶ教科書としておすすめできる。
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池田信夫, 希望を捨てる勇気 停滞と成長の経済学

池田信夫の書き下ろし。当時のブログの内容をより深掘りしたような作品。日本経済の長期停滞の原因である正社員の既得権益がもたらす格差と財政政策の失敗に関する分析が中心で、トンデモ度は低め。全体的にネガティブ基調が過ぎる様に感じるが、出版時点の2009年の空気に引きずられている部分もあるのかもしれない。