fiction

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岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。(判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
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星新一, つぎはぎプラネット

没後16年目の新刊。過去の単行本未収録作品をまとめたもの。出典は児童誌や企業のPR誌など様々で、比較的初期の作品が多い。テーマも品質も大きくバラつきがある。星新一の作品とも思えないようなものも混ざっているので、あまり期待し過ぎると裏切られるかもしれない。コレクターズアイテムとしては重要な一冊。
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アガサ・クリスティー, パトリシア・ハイスミス, モーリス・ルヴェル, ジョー・R・ランズデール, シャーリイ・ジャクスン, ウラジーミル・ソローキン, フランツ・カフカ, リチャード・クリスチャン・マシスン, ローレンス・ブロック, フラナリー・オコナー, フレドリック・ブラウン, 厭な物語

後味の悪さをテーマに編まれたアンソロジー。何よりも企画の勝利。シャーリイ・ジャクスンの "くじ" などの古典的名作から聞いたこともないような作品まで幅広い収録。肝心の "厭さ" も "ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ" の様な暴力的な厭さから "フェリシテ" の様な精神的な厭さまで選り取り見取り。編集も見事で、末尾にフレドリック・ブラウンの "うしろをみるな" を持ってくるところなど芸が細かい。
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ジョージ・ソーンダーズ(著), 岸本佐知子(訳), 短くて恐ろしいフィルの時代

奇妙な童話風の物語として始まるが、その裏はどろどろしたものが詰まっている。普通の人間がちょっとしたきっかけで簡単に独裁者となってしまう様子が見事に描かれている。内容も良いが、翻訳も装丁も水準以上。
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明石散人, 謎ジパング

日本史ミステリ謎解き本。ネタは邪馬台国から桃太郎まで幅広いが、"失われた大四元" として麻雀も取り上げられている。馬吊から看虎、三章、扯五章を経て紙牌に至る麻雀成立の定説から見ると与太話に過ぎないが (巻末の参考文献を見ても、著者が麻雀の歴史を本格的に調べたとは考えにくい) 、読み物としては面白い。
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伊藤計劃, 虐殺器官

伊藤計劃の処女作。やや内向的で繊細な主人公による一人称視点や世界観など、どことなくSFというよりもゲームっぽさを感じさせる。本格ハードSFを期待していると裏切られるかもしれないが、エンターテイメントとしては一級品。翻訳調の文体も好み。
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山本弘, アリスへの決別

各所で発表した作品をまとめた中短編集。山本弘の趣味丸出しの作品が多いので、ハードSFを期待していると裏切られるかもしれない。そんな中、少し毛色の違うホラー作品の "地獄はここに" はなかなか。
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門井慶喜, おさがしの本は

図書館のリファレンスカウンターを舞台にした連作短編集。舞台が舞台だけに本探しにまつわるエピソードを期待してしまうが、それは序盤のみ。中盤以降は政治の話に押されすぎて本の話がどこかへ吹っ飛んでしまった。文庫一冊に様々なネタを詰め込みすぎた感がある。
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浅暮三文(著), 東浩紀(著), 円城塔(著), 小川一水(著), 瀬名秀明(著), 谷甲州(著), とり・みき(著), 長谷敏司(著), 森岡浩之(著), 大森望(責任編集), NOVA 3 書き下ろし日本SFコレクション

NOVAもようやく3冊目。SFかよくわからない作品をあえて取り込んだ前作とは異なり、今回はいかにもなSFが中心。円城塔だけはいまいちよくわからないが。今回は森岡浩之の "想い出の家" が好み。これでもう少し叙述トリック的な作りこみがしっかりしていればと思うが、小道具を含む設定や微妙な後味の悪さは完璧。浅暮三文は本物の天才ではないかと思い始めた。この古き良きバカSF感。素晴らしい。
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マネー・ヘッタ・チャン, マッチポンプ売りの少女 童話が教える本当に怖いお金のこと

ヘッテルとフエーテルの続編的内容。今回もどこかで聞いたような話が多く、あまり新味はない。前作ほど無理に童話仕立てにする必要も無いように感じる (マーケティング的には必要なのだろうけど) 。前作と変わらずさらりと読めてしまう点は良い。