fiction

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西澤保彦, 七回死んだ男

人格転移の殺人が良かったのでこちらも。 ミステリに特殊能力を絡めてくる異端的な作品だが、それでいて読後にフェアな印象が残るのが素晴らしい。最近流行の頭脳バトルマンガに通じる面白さがある。
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モートン・ルー(著), 小柴一(訳), ザ・ウェーブ

実話を下敷きにした小説。 ファシズム的な環境を作る実験授業をテーマにしており、あれよあれよという間に教師すら制御不可能なところへ暴走してしまう様には空恐ろしさを感じる。 内容は文句ないが、翻訳は直訳調で今ひとつ。
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詠坂雄二, 遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?

リロ・グラ・シスタに続く二作目。一作目とはガラリと作風を変えてきた。ハードボイルド色は影を潜め、文体も角が取れた印象。 作中作の構成、副題にもなっているホワイダニットを柱に据えたの謎解き、余韻を残す幕引きと、様々な趣向を凝らしてアイディアを惜しげもなく注ぎ込んでいるのが好印象。
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長嶋有, ねたあとに

各種のアナログゲームをテーマに据えた小説。と言っても、最近流行の本格的なボードゲームなどではなく、ひとひねりしたゲームを持ってくるところがさすが長嶋有。 小説として見ると青春劇や群像劇になるのだろうが、独特の少しユルめの空気感がなんとも言えずたまらない。事件が起こりそうで起こらないところも実に良い。
comic

大石まさる, 水惑星年代記

とりあえず最初のとを。どちらも良質なSF連作短編集。 舞台設定はきちんとSFしていながらも、身の丈の話をきちんと描ききっているところに好感が持てる。アフタヌーン系の絵柄も好み (連載はヤングキングアワーズだが) 。
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円城塔, オブ・ザ・ベースボール

収録された2作とも不条理系小説。文章量はかなり軽めだがどうにも読書が進まない。文章と不条理そのものを楽しめば良いのか。
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高橋源一郎, 優雅で感傷的な日本野球

野球のタグをつけるか迷ったシュール小説。 評価が分かれそうな作品だが、理解できなくとも文章を楽しめればそれで良いという気もする。
comic

道満晴明 (赤) (緑) (青), ニッケルオデオン

少し不思議なSF短編集。いや、短編というよりはショートショートと言ったほうが近いかもしれない。一部連作的な作品もあり。 どれも良質な作品ばかりだが、特に中期の緑に完成度の高い作品が多い様に思う。
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綾辻行人, 十角館の殺人 新装改訂版

古典作品を今更ながら読んでみる。いわゆる新本格のさきがけ的作品。 作品発表当時の時代背景を考えると、この仕掛けがいかに衝撃的だったかが分かる。
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詠坂雄二, リロ・グラ・シスタ the little glass sister

文体はかなり癖が強く、世界観もどこかゲーム的。そこが良い。 ひとつひとつの仕掛けだけを見ると古典的ではあるが、それらを多数組み合わせて学園ハードボイルドの味付けをすることで見事な個性を生んでいる。