fiction

book

新庄耕, 狭小邸宅

不動産営業の現場を舞台にした小説。 今風の言葉で言うところのブラック企業に取り込まれていく主人公に強く肩入れしてしまう良質のエンターテイメント作品。わざわざ不動産を取り上げた意味がやや薄いか。
book

歌野晶午, 密室殺人ゲーム

、、のシリーズ3冊を一気読み。3部作の計画とのことだが、最新刊の密室殺人ゲーム・マニアックスは外伝的な位置づけのため未完。 何よりもネット上の殺人推理ゲームという設定が秀逸。各巻とも殺人のトリックは小粒だが、設定を活かした数々の仕掛けは見事。一見大長編に見えるが、ネット上での会話やチャット主体でテンポよく読めるのも良い。
book

垣谷美雨, ニュータウンは黄昏れて

ニュータウンの悲哀を見事に取り込んだ社会派小説。 小説としてみるとご都合主義が過ぎる感はあるが、一気に読ませる力はある。肝心のニュータウンの内情がきっちり描かれているのが何より素晴らしい。
book

北村薫, 盤上の敵

今まであまり読んでこなかった北村薫を少し。 さすがにご都合主義が過ぎる部分があるのと、あまり読後感が良くないのは残念だが、ミステリとしての面白さは十分。
book

水野敬也, 夢をかなえるゾウ2 文庫版 ガネーシャと貧乏神

夢をかなえるゾウの続編。 前作同様、小説仕立ての成功本。各種成功本のいいとこ取りのスタイルも変わらず。
book

小林泰三, 玩具修理者

ホラー系の表題作よりも、SF風味の "酔歩する男" の方が好み。SFとしては科学的な裏付けにやや難があるものの、センス・オブ・ワンダーとそこから来る恐怖は文句なし。
comic

九井諒子, ひきだしにテラリウム

竜の学校は山の上に続き、九井諒子をもう一冊。こちらは短編集というよりはショートショート集。ややSF風味が強めか。 "すごいお金持ち" の様なトボケたバカSFは好み。
book

北野勇作(著), 京極夏彦(著), 斉藤直子(著), 最果タヒ (著), 竹本健治(著), 林譲治(著), 森深紅(著), 森田季節(著), 山田正紀(著), 大森望(責任編集), NOVA 4 書き下ろし日本SFコレクション

前巻を読んでから随分と間が空いてしまった。 今回の当たりは、森田季節の "赤い森"、竹本健治の "瑠璃と紅玉の女王" 、山田正紀の " バットランド" あたりか。特に "瑠璃と紅玉の女王" は好みの作品。寓話のようでありながら教訓らしいものがなく、お伽話として落としているところがたまらない。
book

西村賢太, 小銭をかぞえる

いつも通りの私小説。今回は同棲中の女性とのエピソードが中心。 毎回読む度に嫌な気分になるのだが、それでも次々と読んでしまうのはなぜだろう。
book

伊藤計劃, ハーモニー

虐殺器官が良かったのでこちらも。 虐殺器官とは世界観を共有しているものの、それ以上の繋がりは薄い。どちらかというとライトノベル寄りの作品で、いわゆるセカイ系に分類されるのかもしれない。その種の作品を嫌っていないのならば十分に楽しめる佳作。文中に仕込まれた仕掛けも見事。