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高橋名人, 高橋名人のゲーム35年史

高橋名人の自伝とゲーム史。名人は1959年生まれで社会人になりたての頃にマイコンが出始めた世代のため、ちょうど自伝とゲーム史が重なっている。やはり面白いのは名人の裏話の数々。特に人気絶頂期のキャラバンはかなりギリギリの中で実現していたことがよく分かる。また、PCエンジンの誕生とともに「ファミコンの高橋名人」が一旦姿を消し、「ハドソンの高橋名人」としての活動が増えていく様子も、高橋名人のビジネスマン姿が垣間見えて興味深い。
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目黒公郎(監修), 遠藤宏之(著), 首都大地震 揺れやすさマップ

永く住む場所を決める際には、やはりその耐震性を調べなければならない。本書は現在の地図と1919年の基盤地図を並べて眺めることで、その土地の生い立ちを知ることができる。一見地盤良好なエリアでも、谷を埋めた盛土地や埋立地が分布しているので油断ならない。23区の他、都下、神奈川、埼玉、千葉の主要なベッドタウンが網羅されており申し分ない。特に東京中心部は関東大震災時の震度も併記されているのが便利。
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キャロル・キサク・ヨーン(著), 三中信宏(訳), 野中香方子(訳), 自然を名づける なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか

生物分類学の歴史を俯瞰する啓蒙書。単純に科学者の視点から最新の科学的分類学を押し付けるのではなく、人間の環世界 (umwelt) センスを基礎とした古典的な民俗分類学に敬意を払っているのに好感が持てる。人間の環世界は、人間が生物界を認知するための基本的な手段だ。世界中どこに住む人々も、魚、鳥、ヘビ、哺乳動物など、共通した生物のグループ分けを持つ。人々はさらに、よく似た生物は兄弟として扱い、生物の姿が連想されるような名前をつけ、民俗分類の属を600以下に保ちウィリスのカーブに従...
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マックス・フォン・シュラー, アメリカ人が語るアメリカが隠しておきたい日本の歴史

日韓で活動した経験を持つ元米軍海兵隊による歴史書。おそらく自身による日本語と英語の文章が併記されるスタイル。日本の自虐史観を否定する以上に、米国 (や西洋) の傲慢さを自ら批判しているのが印象的。
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宮下規久朗, オールカラー版 欲望の美術史

食欲や愛欲といった人間の根源的な欲望に加えて、金銭欲の視点から美術史を眺めているのが興味深い。美術作品も社会に流通する商品であり、むしろ金銭に執着する芸術家の方が才能に恵まれ多産であることがよく分かる。
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松浦健一郎, 司ゆき, ファミコンの驚くべき発想力 限界を突破する技術に学べ

ファミコンの仕様紹介が中心で、後半にはファミコンソフト開発の小ネタが少々。著者の略歴を見る限りファミコンでの開発経験はないようなので、上村雅之の著作やネット上の情報を元に執筆しているように見える。
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阿部珠理, メイキング・オブ・アメリカ 格差社会アメリカの成り立ち

アメリカ先住民の研究者が描く、アメリカの不平等社会の成り立ち。白人とインディアン、ピューリタンと非ピューリタン、南部貴族と黒人奴隷、ワスプとマイノリティ、資本家と労働者など、アメリカの歴史が格差の歴史そのものであることがよく分かる。それでも救いがあるのが、持たざるものにも社会上昇の機会があること。例えば、新たにやってきた移民労働者は労働者ピラミッドの最下層を形成し、それまでの移民労働者はピラミッドを一段上昇するという社会構造が挙げられる。
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小林昌平, その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

現代人の様々な悩みも哲学の歴史から見ればすでに長年議論され尽くしてきたよくある悩みの一つに過ぎない。今現在悩みを抱えている人も、本書からきっとヒントを得ることができるはず。多数の哲学者をつまみ食いしているため一つ一つは薄めだが、哲学への取り掛かりとしては良い本。
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ダニエル・コーエン(著), 林昌宏(訳), 経済成長という呪い

高々2世紀前に始まった "経済成長" というアイデアが持続可能なものであるのかを問いかける。人類史をなぞってみると、AIを含むデジタル革命が継続的な経済成長をもたらすような簡単な問題ではないことがよく分かる。
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諸富徹, 私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史

税金の成り立ちを追ってみると、租税の仕組みそのものが国家であることがわかる。著者はまずホッブズとロックの租税論に立ち返る。彼らが租税を国家が市民に提供する便益への対価と定義したことが、国家を形づくったと言える。すなわち、王権神授説から社会契約論にもとづく国家論への転換である。イギリス社会では納税を権利とみなす自発的納税倫理が定着していたのも、この影響が大きい。一方、無数の領邦国家に分裂していた後進国ドイツでは、イギリスやフランスといった先進国家に対抗して経済的基盤を整えて発展...