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辣椒, マンガで読む嘘つき中国共産党

亡命中国人による共産党風刺マンガ。マンガ単体としての面白さはさておき、国内安全保衛に拘束された強烈な体験談など、中国共産党の実態を知るために有益な情報が多数。
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諸富徹, 私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史

税金の成り立ちを追ってみると、租税の仕組みそのものが国家であることがわかる。 著者はまずホッブズとロックの租税論に立ち返る。彼らが租税を国家が市民に提供する便益への対価と定義したことが、国家を形づくったと言える。すなわち、王権神授説から社会契約論にもとづく国家論への転換である。イギリス社会では納税を権利とみなす自発的納税倫理が定着していたのも、この影響が大きい。 一方、無数の領邦国家に分裂していた後進国ドイツでは、イギリスやフランスといった先進国家に対抗して経済的基盤を整えて...
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橘玲, 上級国民/下級国民

先進国で進んでいる上級国民/下級国民への階層分断についての考察。 前半は主に日本社会で下級国民が生み出された背景を探り、仕事が嫌いで会社を憎みながら長時間労働をしそれでも生産性が低い日本のサラリーマンにその原因を求める。この理由を更に追い求めると、団塊の世代の雇用を守り続けたことに行き着く。その影で割りを食ったのは若い男性だ。そして令和は団塊の世代の年金を守り続ける時代になると予想する。 後半では世界レベルでの上級国民/下級国民への階層分断がなぜ起こっているかにも触れ、個人の...
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辻田真佐憲, たのしいプロパガンダ

プロパガンダの中でも、音楽や映画といった娯楽による "たのしいプロパガンダ" を紹介した本。表紙もロトチェンコのパロディ。 大日本帝国、ソ連、ナチ、北朝鮮、韓国、オウム真理教、イスラム国、現代日本と、さまざまな時代と地域の "たのしいプロパガンダ" を取り上げている。所変われどその本質は変わらず、人気芸能人や芸術家までをもフル活用してプロパガンダに励んでいた様子が見て取れる。また、現代の事例も取り上げられており、ロシアやウクライナのSNSを活用したプロパガンダや米国のディーバ...
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堤未果, (株)貧困大国アメリカ

ルポ 貧困大国アメリカ IIに続いてもう一冊。 シリーズ完結編で、貧困を生み出す巨大企業と政府の癒着を見事に描ききっている。大企業に絡め取られる農場経営、GM種子による食の支配、切り売りされる公共サービス。どれも現在のアメリカを理解する上で欠かせないものばかり。特に公共サービスの崩壊については、民間企業が運営する自治体Public Private Partner (PPP) の動向も取り上げられており興味深い。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ II

ルポ 貧困大国アメリカの続編。 今回は、学資ローンによる借金地獄、社会保証の崩壊による高齢者の転落、借金漬けにされる囚人たちなどが新たに取り上げられる。前巻に引き続き、医療改革が一向に進まない理由についても語られる。どれも近い将来に日本が同じ道を辿りかねないものである。
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佐藤優, いま生きる「資本論」

読む順序が逆になってしまったが、いま生きる階級論の前著。 1930年代の日本資本主義論争まで遡った資本論の読み方を説く。天皇制の打破による日本の資本主義社会化の後に社会主義革命を目指す講座派と、すでに権力の実態を持っている財閥を即座に打破する社会主義革命を志向する労農派。それらの対立が資本論の読み方に強い影響を与えている。 人生を楽にするために資本論を読もうという提案も興味深い。資本主義のからくりを知ることは、資本主義社会の中で自分の置かれた状況を客観視することにつながる。資...
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大石浩二, トマトイプーのリコピン (1) (2) (3)

磯部磯兵衛物語の後釜として週刊少年ジャンプの巻末ギャグ枠に入ったが、諸事情により少年ジャンプ+へ移籍。単行本は続いて欲しい (週刊少年ジャンプで一旦完結させた版が単行本未収録だが)。 グッズ化できそうなかわいいキャラクターと時事風刺ネタとのギャップがすばらしい。
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橘玲, 「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探検する

複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の進歩が "知のビッグバン" 起こした後の本を中心に読むべきという主張。 特に進化論を高く評価しており、遺伝学、脳科学、進化心理学、行動ゲーム理論、行動経済学などが進化論を土台に融合しているとみなしている。専門の科学者ではないので論理の飛躍が多いが、言わんとしていることは理解できる。
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佐藤優, いま生きる階級論

新潮講座の内容を書き起こしたもので、資本論の読み方を契機に様々な教養を説く。 マルクス経済学では、労働力商品の対価すなわち賃金は生産論で扱われ、分配論には組み込まれない。 賃金は生活費、再生産費、自己教育費から成り立つもので、富の分配ではない。 資本主義の論理に巻き込まれると、死ぬまで働かされるというスタイルになってしまう。 資本主義社会には自己実現などない。 ここから抜け出すもっとも現実的な方法は、職人、画家、作家、開業医、ラーメン屋のような労働力が商品化されていない世界の...