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ピエール・バイヤール(著), 大浦康介(訳), 読んでいない本について堂々と語る方法

本来は読んでいなければならないはずの本を読んでいないということを半ば自虐的ながらも肯定的に捉え、その上でその本について語るにはどうするべきかということを論じた本。 そもそもある本を読んだとはどういうことなのかという根源的な問題まで改めて考えさせられる良書。おすすめ。
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アンドリュー・パーカー(著), 渡辺政隆(訳), 今西康子(訳), 眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く

カンブリア爆発の原因は眼の誕生にあったとする説。聞いてしまえば当たり前に思えるが、そこがコロンブスの卵と言えるところだろう。 その当たり前の結論に辿り着くまで、少しづつ外堀を埋めていくような構成が見事。上質の推理小説を読んでいるような印象を覚える。翻訳の質もよく、一気に読みきってしまった。おすすめ。
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リチャード・ワイズマン(著), 木村博江(訳), その科学が成功を決める

最新の心理学研究の成果を用いて、自己啓発本でよく語られる言説を検証している。 文献調査もきちんとしており、主観的な記述ばかりの自己啓発本よりははるかに納得感がある。おすすめ。
game

428 封鎖された渋谷で

久しぶりにiPhoneでゲーム。428 封鎖された渋谷で。 サウンドノベルの肝となるシナリオはもちろんのこと、システムや演出も良く練られており、最後まで飽きさせない。ゲームとしての難易度は、クリアするだけならばかなり低め。ただし、真ENDや隠しシナリオを含めて本格的なやり込みが必要。
movie

きっと、うまくいく

インド映画の奥深さを体感できた。いわゆる歌と踊りのマサラ・ムービーの要素も含まれてはいるのだが、それ以上に見事なストーリー展開に引き込まれた。強いメッセージ性、現代インドの社会問題の切り出し、見事に絡み合う伏線の数々、そしてなによりも映画としてのカタルシス。インド映画は今ひとつ肌に合わないという向きにもぜひ試してもらいたい一本。おすすめ。
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Bill Karwin(著), 和田卓人(監訳), 和田省二(監訳), 児島修(訳), SQLアンチパターン

SQLで陥りがちな間違いを集めたアンチパターン集。 どれも見覚えのあるものばかりで身につまされる。解説も非常に的確で、対処法はもちろんのこと、あえてアンチパターンを使うべき場面まできちんと論じられているのが良い。翻訳の質も良く、SQLに関わる仕事をしている向きには間違いなくおすすめできる。
book

青木昌彦(編著), 安藤晴彦(編著), モジュール化 新しい産業アーキテクチャの本質

"モジュール化" という単語は聞いたことがあるというレベルで読み始め、その理解の浅さに気付かされた。 モジュール化とは、字面から想像される単に機能ブロックごとに切り分けるだけのものではなく、摺り合わせのコストを下げるとともに競争圧力を高めるものであることがよく分かる。机上の論理だけではなく、自動車産業や半導体露光装置産業、ゲーム産業など様々な産業の実例も豊富に含まれており、この一冊だけでモジュール化の分野を概観できる。おすすめ。
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木下是雄, 理科系の作文技術

文章術の古典とも言える本。学生時代に一度読んでいるが、思うところがあり再読。学生時代と異なり、それなりの量の作文をこなしてきた今に読み返すと沁み入る部分が多い。 ワードプロセッサの普及前の著作であり、手書きを前提としている箇所などやや時代を感じる箇所もあるが、その他の部分は全く古くなっていない。現代でも版を重ねているのにはやはり理由がある。理工系の人間は必読。
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岡崎武志, 蔵書の苦しみ

タイトル通りの、蔵書をテーマにしたエッセイ集。著者自身の体験を中心に、知人や過去の文豪達の蔵書に関するエピソードなども。本好きの人間には共感できる内容も多い。 後半ではこの蔵書の苦しみの救世主となる可能性を秘めている電子書籍についても少しだけ触れているが、ITには疎いらしくやや上滑りしている様に感じる。
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Robin Williams(著), 吉川典秀(訳), 米谷テツヤ(解説), ノンデザイナーズ・デザインブック フルカラー新装増補版

既にを発行当初の1990年代末頃に読んでいたが、改訂版で読み直し。 大まかなストーリーは初版と変わらず、近接、反復、整列、コントラストの4原則の繰り返し。本職のデザイナーからすると物足りない内容だろうが、素人脱出には十分効果的。フルカラー化に伴い、色彩の基礎が追加されたのも良い。