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キース・デブリン(著), ゲーリー・ローデン(著), 山形浩生(訳), 守岡桜(訳), 数学で犯罪を解決する

米国のドラマ、NUMB3RSのネタを中心に、犯罪捜査に用いられている数学を解説する。今までも、科学捜査に関する本などは出ていたが、数学に着目した本は珍しい。単純な統計処理に止まらず、変化点検出、画像エンハンス、ベイズ推論、社会ネットワーク構造、ゲーム理論など、様々な数学世界を見せてくれるので全く飽きない。もちろん、NUMB3RSを観ていない人間にも十分に楽しめる様に工夫もされている。お勧め。
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トム・ヴァンダービルト(著), 酒井泰介(訳), となりの車線はなぜスイスイ進むのか? 交通の科学

ちょっとあざとい新書のようなタイトル (原題は "Traffic: Why We Drive the Way We Do (and What It Says About Us)") の交通工学の本。ドライバーの心理に根ざした内容が多く、同じ "トラヒック" でありながらも、自分の専門とする通信トラヒック工学とは全く異なるアプローチが必要となるのが興味深い。
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ウィリアム・パウンドストーン(著), 松浦俊輔(訳), 天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話

クロード・シャノンやエドワード・ソープといった天才数学者が如何にして最適な裁定取引を実現するに至ったかを追った本。数式はほとんどなく、どちからといえばドキュメンタリーといった体裁だが、現代的な金融工学に繋がる流れはよく捉えられる。翻訳が今ひとつで少し読みにくいが、それを差し引いても読む価値のある本だと思う。
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小島寛之, 世界を読みとく数学入門 日常に隠された「数」をめぐる冒険

気軽に読める数学本だが、ただの雑学本よりはもう少しがっちりした内容。数式もそれほど端折られていないので、まじめに読むと少し骨がある。
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香西秀信, 論より詭弁 反論理的思考のすすめ

理工系な職場にいると、ついつい論理的思考に偏ってしまうが、それを自覚するのには良い本。本書は論理的思考を真っ向から批判し、レトリックを用いた "人に訴える議論" を論じる。その技巧だけを見ると当たり前のことばかりにも見えるが、論理的思考にどっぷりと浸かっていると、その使用をためらわれるものも多い。
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ジャレド・ダイアモンド(著), 楡井浩一(訳), 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上巻, 下巻)

少し前のベストセラー。前作の銃・病原菌・鉄が良かったのでこちらも読んでみた。前作はなぜ一部の人種が圧倒的な繁栄を得たのかを解き明かすのがテーマだったが、今作は逆に問題解決に失敗して滅びてしまった社会に注目する。マヤやイースター島、グリーンランドなどのすでに崩壊してしまった社会の事例分析が豊富に行われているのが実に興味深い。それらの社会が崩壊した要因は、現代の先進国にとっても他人事ではないことが良く理解できる。おすすめ。
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谷岡一郎, 脳がよろこぶ思考力アップパズル

谷岡先生のファンなので読んでみた。既存のパズルの再録が中心でオリジナル問題はあまり多くないが、比較的エレガントなものが揃っており悪くない。普段この手のパズル本を読まない人にもおすすめできる。
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吉村仁, 素数ゼミの謎

米国で13年もしくは17年毎に大発生する素数ゼミの謎に関する本。謎は大きく三つあり、「なぜ成虫になるのにこれほど長い時間がかかるのか」、「なぜ一斉に同じ場所で大発生するのか」、「なぜ13年と17年という素数なのか」。おそらく中学生程度の読者を想定しており、噛んで含める様に説明してくれるのは、大人にとってもありがたい。
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コンラート・ローレンツ(著), 日高敏隆(訳), ソロモンの指環 動物行動学入門

もはや古典とも言える動物行動学の入門書。エッセイ形式なので非常に読みやすい。動物たちに翻弄される様子がユーモラスに書かれており、ローレンツ先生のお茶目なお人柄が伝わってくる。
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ベースボーロジー第10号 原稿募集

以前、野球文化學會の論文集 "ベースボーロジー" を購入したが、そこから原稿募集の案内が届いた。電子メールではなく、日本郵便メールで届いたのが少しびっくり。また、"野球出版・報道文化賞" 及び "野球放送・映像文化賞" の推薦以来も同封されていた。今年はセイバーメトリクス寄りの本を色々と読んでいたのだが、思い返してみても推薦できそうな本が一つもないのが残念。