book 香西秀信, 論より詭弁 反論理的思考のすすめ 理工系な職場にいると、ついつい論理的思考に偏ってしまうが、それを自覚するのには良い本。本書は論理的思考を真っ向から批判し、レトリックを用いた "人に訴える議論" を論じる。その技巧だけを見ると当たり前のことばかりにも見えるが、論理的思考にどっぷりと浸かっていると、その使用をためらわれるものも多い。 2009-03-24 book
book ジャレド・ダイアモンド(著), 楡井浩一(訳), 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上巻, 下巻) 少し前のベストセラー。前作の銃・病原菌・鉄が良かったのでこちらも読んでみた。前作はなぜ一部の人種が圧倒的な繁栄を得たのかを解き明かすのがテーマだったが、今作は逆に問題解決に失敗して滅びてしまった社会に注目する。マヤやイースター島、グリーンランドなどのすでに崩壊してしまった社会の事例分析が豊富に行われているのが実に興味深い。それらの社会が崩壊した要因は、現代の先進国にとっても他人事ではないことが良く理解できる。おすすめ。 2009-02-14 book
book 谷岡一郎, 脳がよろこぶ思考力アップパズル 谷岡先生のファンなので読んでみた。既存のパズルの再録が中心でオリジナル問題はあまり多くないが、比較的エレガントなものが揃っており悪くない。普段この手のパズル本を読まない人にもおすすめできる。 2009-02-10 book
book 吉村仁, 素数ゼミの謎 米国で13年もしくは17年毎に大発生する素数ゼミの謎に関する本。謎は大きく三つあり、「なぜ成虫になるのにこれほど長い時間がかかるのか」、「なぜ一斉に同じ場所で大発生するのか」、「なぜ13年と17年という素数なのか」。おそらく中学生程度の読者を想定しており、噛んで含める様に説明してくれるのは、大人にとってもありがたい。 2009-01-11 book
book コンラート・ローレンツ(著), 日高敏隆(訳), ソロモンの指環 動物行動学入門 もはや古典とも言える動物行動学の入門書。エッセイ形式なので非常に読みやすい。動物たちに翻弄される様子がユーモラスに書かれており、ローレンツ先生のお茶目なお人柄が伝わってくる。 2008-12-25 book
diary ベースボーロジー第10号 原稿募集 以前、野球文化學會の論文集 "ベースボーロジー" を購入したが、そこから原稿募集の案内が届いた。電子メールではなく、日本郵便メールで届いたのが少しびっくり。また、"野球出版・報道文化賞" 及び "野球放送・映像文化賞" の推薦以来も同封されていた。今年はセイバーメトリクス寄りの本を色々と読んでいたのだが、思い返してみても推薦できそうな本が一つもないのが残念。 2008-12-07 diary
book イアン・エアーズ, 山形浩生, その数学が戦略を決める データマイニングを元にした "絶対計算" が現在どのように使われているのかという事例が多数。ワインの値段の予測に始まり、野球選手の評価、病気の診断、教育手法毎の効果測定、映画のヒット予測、などなど。多くの分野で専門家を凌ぐ絶対計算が可能であることが次々と示されるのは実に爽快。しかしながら、これらを実際に活用するには大きな壁があることも事実だろう。本書中の以下の文章がそれを端的に表している。人々は自分の専門領域以外でなら絶対計算利用に抵抗がないまた、すでにあるデータの分析にとど... 2008-11-16 book
book 吉田寿夫, 本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本 統計処理をまじめにやらなければいけない機会がまた増えてきたので、勉強しなおしのために読んでみた。一通り統計をかじったことのある人が、思い出すために読むには適当な本。厳密な証明を省略している部分も多いが、統計を道具として使うだけならば必要十分な内容だろう。 2008-10-12 book
book 松永和紀, メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 特に食に関する話題を中心としたメディアリテラシー本で、食卓の安全学の続編的な内容。類書に比べてあまり目新しい視点はないが、毒性学の基本 (用量依存性) 、添加物の安全性、オーガニック食品のリスク (天然農薬) 、伝統食の過剰な美化など、マスメディアの報道で誤解されがちな内容がよくまとまっている。また、本書中で紹介されている食品安全情報blogも必読。 2008-10-01 book
book 野口悠紀雄, 土地の経済学 日本の地価高騰を経済学の観点から分析した本。少し古い本だが内容は古くなっておらず、今でも読む価値がある。よく言われる「日本は国土面積が狭いので土地が高騰している」という論の誤りと、土地高騰の本当の原因である土地政策の失敗が見事に説明されている。また、地価高騰への対策として、土地の所有権と利用権を経済的に分離する地価インデックス債が提唱されているが、こちらも非常に興味深い。 2008-09-03 book