sf

book

小林泰三, 玩具修理者

ホラー系の表題作よりも、SF風味の "酔歩する男" の方が好み。SFとしては科学的な裏付けにやや難があるものの、センス・オブ・ワンダーとそこから来る恐怖は文句なし。
comic

九井諒子, ひきだしにテラリウム

竜の学校は山の上に続き、九井諒子をもう一冊。こちらは短編集というよりはショートショート集。ややSF風味が強めか。 "すごいお金持ち" の様なトボケたバカSFは好み。
book

北野勇作(著), 京極夏彦(著), 斉藤直子(著), 最果タヒ (著), 竹本健治(著), 林譲治(著), 森深紅(著), 森田季節(著), 山田正紀(著), 大森望(責任編集), NOVA 4 書き下ろし日本SFコレクション

前巻を読んでから随分と間が空いてしまった。 今回の当たりは、森田季節の "赤い森"、竹本健治の "瑠璃と紅玉の女王" 、山田正紀の " バットランド" あたりか。特に "瑠璃と紅玉の女王" は好みの作品。寓話のようでありながら教訓らしいものがなく、お伽話として落としているところがたまらない。
book

伊藤計劃, ハーモニー

虐殺器官が良かったのでこちらも。 虐殺器官とは世界観を共有しているものの、それ以上の繋がりは薄い。どちらかというとライトノベル寄りの作品で、いわゆるセカイ系に分類されるのかもしれない。その種の作品を嫌っていないのならば十分に楽しめる佳作。文中に仕込まれた仕掛けも見事。
game

STEINS;GATE

発売5周年記念サマーセールの時に購入して放置していたSTEINS;GATEをようやくプレイ。 ほぼ一本道なので、あまりゲームを遊んでいるという感覚がなく、ビジュアルノベル気分。設定もキャラクターも癖がある作品なので好き嫌いは分かれると思うが、巷で言われているようにストーリーの質はなかなか。
book

山本弘(著), 徒花スクモ(イラスト), 詩羽のいる街

山本弘にしては珍しい、SF要素少なめの現代劇。小説としての構成はさすがで、所々にちりばめられた伏線や小ネタが良い味を出している。 最近の趣味を反映してか、アニメ文化の知識がないと面白さが分からないと思われる部分が散見される。また、著者の思想が強めに出ている作品なので、やや読者を選ぶかもしれない。
book

星新一, つぎはぎプラネット

没後16年目の新刊。過去の単行本未収録作品をまとめたもの。出典は児童誌や企業のPR誌など様々で、比較的初期の作品が多い。 テーマも品質も大きくバラつきがある。星新一の作品とも思えないようなものも混ざっているので、あまり期待し過ぎると裏切られるかもしれない。コレクターズアイテムとしては重要な一冊。
book

伊藤計劃, 虐殺器官

伊藤計劃の処女作。 やや内向的で繊細な主人公による一人称視点や世界観など、どことなくSFというよりもゲームっぽさを感じさせる。本格ハードSFを期待していると裏切られるかもしれないが、エンターテイメントとしては一級品。翻訳調の文体も好み。
book

ドゥーガル・ディクソン(著), 今泉吉典(監訳), アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界

人類を含む哺乳類がほぼ絶滅した後のニッチを、他の系統がどのように埋めていくかという思考実験。純粋にSFとして楽しめる。 表紙にあるような奇抜な外見の生物はむしろ少数派で、大半はもう少し現生の動物に近い大人し目のデザイン。しかしながら、その生態はいずれも個性的で読ませてくれる。
book

山本弘, アリスへの決別

各所で発表した作品をまとめた中短編集。山本弘の趣味丸出しの作品が多いので、ハードSFを期待していると裏切られるかもしれない。 そんな中、少し毛色の違うホラー作品の "地獄はここに" はなかなか。