book

久保象(文), ホリユウスケ(漫画), ドラッグの教科書

表題だけ見るとドラッグ全般を扱った本に見えるが、実際は大麻中心。著者が大麻推進派である以上、大麻の良いことしか書かれていないので、教科書と呼ぶには若干心許ない。しかしながら、随筆的な読み物としては十分に楽しめる。挿絵代わりのホリユウスケの漫画、"彼女はジャンキー" もなかなか。
movie

テッド

話題作を観に行くのは悔しいが、この作品テッドは大当たり。強いて難をあげるなら、アメリカ文化を共有していないために笑えない箇所が多いくらい。フラッシュ・ゴードンあたりが限界か。字幕は相当な意訳でごまかしていたが、よくここまで仕上げたものだと思う。星一徹やくまモンまで出てきたのにはさすがに苦笑したが。
book

佐藤俊樹, 不平等社会日本 さよなら総中流

社会調査の手法により、階層の相続の有無を解き明かそうとする試み。特に、ホワイトカラー雇用上層の再生産に軸足を置いており、近年の知識階級が閉鎖的となっている様子がよく分かる。SSM調査のデータを基礎としているため、少々強引な仮定を置いて推測している箇所も見受けられるが、この種の調査としては許容範囲だろう。一昔前の質実剛健な新書のスタイルのため、読み応えも十分。
comic

青山広美, 東風のカバ (1)

今となっては何もかもが懐かしい東風荘マンガ。青山広美はギャグの方がいけるのではないかという気がしてくる (まあ、バードもある意味高度なギャグマンガだが) 。残念ながら2巻が刊行されていないのはさすが竹書房。
book

金子哲雄, 「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ

見た目も内容も薄めの、今時の新書本。半分程が持ち家と賃貸の比較、残り半分がビジネスの話題。持ち家と賃貸の比較は各所で行われていることもあり、あまり新味はない。後半のビジネスの話は小ネタの寄せ集め感はあるものの、読み物としては面白い。
book

増田弘(監修), なぜ世界で紛争が無くならないのか

日本でもニュースでよく取り上げられるものの、その背景がよくわからない世界の7つの紛争、"アラブ対イスラエル"、"アメリカ対イラク紛争"、"朝鮮半島危機"、"台湾海峡危機"、"日中危機"、"アフリカの紛争"、"東ティモール紛争" を取り上げて解説する。各章はそれぞれ個別の専門家が解説する形式。各章が完全に独立しており寄せ集め感は免れず、また紙幅の制限からやや踏み込みが浅いが、一冊の新書でこれだけ幅広くまとめられているのはありがたい。
book

小野博明, なぜゴルフ場は18ホールなのか ビジネスに使える、どうでもいい数字の話

一応数字をテーマにしているものの、実態はただの雑学蘊蓄本。特に何かの役に立つ本ではないが、手軽に読める通勤のお供としては悪くない。
book

永江朗, 本の現場 本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の企画・編集から流通までの現場を押さえたルポタージュ。やや雑多な内容ではあるが、全面を通して本への愛が感じられるのは良い。再販制度への問題提起を反映して、本書も非再販となっているあたり芸が細かい。
book

瀧澤武信, 松原仁, 古作登, 橋本剛, 小谷善行, 鶴岡慶雅, 山下宏 金子知適, 保木邦仁, 伊藤毅志, 竹内章, 篠田正人, コンピュータ将棋協会(監修), 人間に勝つコンピュータ将棋の作り方

清水市代女流王将を破って話題となった "あから2010" の関係者が中心となって執筆したコンピュータ将棋の解説本。著者陣のバランスもよく、コンピュータ将棋の歴史に始まり、盤面評価や枝刈りの基礎、機械学習や合議制といった流行の技術、プロ棋士との対局の実戦譜まで幅広く取り揃えている。計算機の基礎や最低限の棋譜を読む力があれば、コンピュータ将棋の基礎知識がなくとも楽しめる。
book

荒俣宏(監修), アラマタ大事典

分類としては児童書になるのだろうが、大人が読んでも十分に楽しめる。取り上げられている項目は相当な偏りがあるが、それが本書の味。小学生男子が食い付くネタという意味では一貫性がある。記述は概ね妥当だが、娯楽性を重視してか、ややオカルト系に肯定的な記述が目立つのだけは気になる。