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中村秀樹, 本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種

元海上自衛隊潜水艦長の著作だけあって、現在の海上自衛隊の状況がよく伝わってくる。 3章の第二次世界大戦における日本海軍潜水艦作戦に多くのページを割いているのが特徴的で、海軍時代から続く潜水艦運用の問題点が浮き彫りになっている。このあたりは興味がないと少々退屈になりがちなところではあるが、他の戦史本よりははるかに読みやすくまとめている。
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橋本憲範, 奇想ヤフオク学 エーブックはどうやって古本を3億円売ったのか?

組版はワープロ打ちそのままで、校正も不十分な箇所が目立つが、内容は圧倒的に面白い。 最初は私物の台本を売っていたのが、古本屋で仕入れるようになり、市中の古本屋を回るようになり、泊まりがけでせどりに出るようになり、果ては古本屋組合の市場で仕入れるようになり、と転がるような商売の流れがたまらない。 著者がコンピュータにはそれほど詳しくないと公言しているだけあって、技術面ではあまり読むべき所がない。しかしながら、商材である写真集の物理的な管理方法や、それらを売り切るテクニックには見...
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長嶋有, パラレル

タイトル通り、複数の時間の流れが平行して進む構成が新感覚。 ゲームデザイナーの主人公を通して何気なく語られるゲーム観にも妙に共感できる。
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左巻健男, 水はなんにも知らないよ

タイトルからもわかる通り、に対する見事な批判本。さらに同書の批判にとどまらず、水にまつわる怪しいビジネスの数々を痛快に斬ってくれる。 また、水道水とミネラルウォーターの違いや、水のおいしさを決定する要因、浄水器の仕組みなど、水にまつわる話題が効率よく読めるのも嬉しい。おすすめ。
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佐藤尚之, 明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法

著者の佐藤尚之氏は、あのスラムダンクの1億冊突破感謝キャンペーンを担当された方。 消費者が広告を受け取ってすらくれない時代に、広告はどうあるべきか。"消費者をもっとよく見る" という当たり前のことがいかに重要であるかを思い知らされる。 また、ネット上ではテレビや新聞はもう過去のメディアであるかのような扱いをしている人も多いが、それらの昔ながらのメディアもまだまだ可能性を秘めていることを感じさせてくれる。おすすめ。
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日本女性言語学会(編), オンナの建前←→本音翻訳辞典

ネタ本としてはなかなか面白いが、辞典というほどのボリュームも深さもないのが少し残念。
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エドゥアール・ロネ(著), 高野優(監訳), 柴田淑子(訳), 変な学術研究 2

変な学術研究 1の続編。 今回は変な死に方にフォーカスしたものなので、ソースの多くが法科学や法医学の専門誌。テーマがテーマだけにさすがにちょっと気分が悪くなるところもあるが、エスプリのききすぎた文章にだいぶ救われている。
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谷岡一郎, データはウソをつく 科学的な社会調査の方法

いわゆるリサーチリテラシー本。 一般向けの本のため色々と端折っているところがあるので教科書的に使える本ではないが、世の中で行われている社会調査のいい加減さを知るには良い本。所々に挿入されるいしいひさいちのマンガもいい味を出している。おすすめ。
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麻倉怜士, やっぱり楽しいオーディオ生活

大人向けのオーディオ指南書ということで、若い頃にステレオに感動したけれども再び音楽を楽しみたい、といった人々がターゲットと思われる。本書中で取り上げられる機材も、そういったちょっと懐に余裕がありそうな人向けのものが中心。 オーディオの音を良くする方法が色々と述べられているのだが、主観的な評価しか行っていないようなので (もしかしたらきちんとブラインドテストなどを行っているのかもしれないが、本文中からは読みとれない) 、どうしてもオカルトにしか見えない。
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門倉貴史, ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る

ワーキングプア (働く貧困層) にスポットライトを当てた本。 統計データもしっかりしているが、それ以上に生々しいインタビューが強烈な印象を残し、この問題が他人事ではないことを感じさせる。ワーキングプア問題を考える際にまず読むべき本。