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江畑謙介, 安全保障とは何か 脱・幻想の危機管理論

まずは冷戦後の大きな紛争要因である資源問題や通商ルート問題を中心とした、現代の安全保障の構造の解説。冷戦中の東西ブロック構造から冷戦後の共同体を基盤とした構造への変化がよくわかる。 さらに、アジア・太平洋の安全保障を考える上で重要なプレイヤーとなる米国、中国、ロシアのそれぞれの思惑と戦力が分析されている。不明な点や比較が困難なパラメータはきちんとことわっているため、トンデモ率が低く抑えられているのは評価できる。
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青井夏海, スタジアム 虹の事件簿

東海レインボーズのオーナーにも関わらず野球素人な虹森多佳子を主人公とした安楽椅子探偵モノ。覚えたての野球を例え話に事件を解説するスタイル。 野球部分は意外とまとも。端々に野球好きをうならせる様なネタも。例えば、フライ捕球後のリタッチが間に合わずに刺された場合、フォース扱いではなくタイムプレイになるところなどは野球好きの人間でも誤解している人が多そう。
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栄陽子, 留学で人生を棒に振る日本人 “英語コンプレックス”が生み出す悲劇

アメリカの大学を卒業したのに就職できない、そんな留学の間違いをまとめた本。これから留学を考えている人には参考になるであろう情報が多い。 たとえばアメリカの大学のシステム。一口にアメリカの大学と言ってもリベラルアーツ・カレッジとコミュニティ・カレッジでは全く設立された背景や目的が異なり、当然のことながら教育内容も大きく異なる。 また、あまり良心的とは言えない留学エージェントの現状も参考になる。こちらは、不安ならば著者の栄氏の経営する「栄陽子留学研究所」へ、というメッセージが少々...
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秋元大輔, Jリーグクラブをつくろう! 新規参入を目指すクラブを紹介

Jリーグ (J1, J2) への参入を目指すクラブの紹介。JFLのみならず、地域リーグレベルのチームも多数収録されている。 1チームあたり4〜6ページなのそれほど深い紹介ではないが、クラブに問題点がある場合はきちんと指摘しているのが好印象。全体を通して、地域に密着していくことの重要性が強く伝わってくる。
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山本弘, アイの物語

7本のSF短編からなる作品だが、それぞれの短編を繋ぐインターミッションが素晴らしいデキ。 1話目の "宇宙を僕の手の上に" を読み始めた頃は今ひとつな印象だったが、2話目からグングンと引き込まれた。特に6話目の "詩音が来た日" は間違いなくおすすめできる作品。泣いた。 著者が自身のホームページで、 ここに収めた物語はどれも泣ける話である。 僕自身、自分で書いてて泣いたのだから、間違いない。 と語っているだけのことはある。
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遠藤秀紀, 解剖男

また遠藤氏の著作を読む。これで3冊目。 相変わらず知的好奇心にビンビンとくる本。おすすめ。
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ロビン・ウィルソン(著), 茂木健一郎(訳), 四色問題

四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けることができる、という四色問題が解かれるまでを追った数学ノンフィクション。 手加減のない内容で片手間に読んでいると理解が難しいので、集中して一気に読む時間を確保することをお勧めする。
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河内孝, 新聞社 破綻したビジネスモデル

著者の河内氏は元毎日新聞の常務取締役とのこと。内部の人間だけあって、今までの部数至上主義が招いた弊害や押紙問題はよくまとまっている。また、多くの紙幅をさいている新聞とテレビの系列化によるメディアの独占問題も興味深い。 しかしながら、提示される未来像は今ひとつ。毎日、産経、中日を中心とし、読売、朝日に続く第三勢力を作るという私案はさすがに所々に無理を感じる。また、ネットとの競合については申し訳程度に触れられているだけなのが残念。
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ロバート・ホワイティング, 松井みどり(訳), 野球はベースボールを超えたのか

ロバート・ホワイティング氏の名前で購入。 先の球界再編の流れがよくまとまっているが、あまり新しい情報はない。また球界への提言も、既に当時議論されていたものが多く、新鮮味は感じない。
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遠藤秀紀, パンダの死体はよみがえる

先日の人体 失敗の進化史が当たりだったので、遠藤氏の過去の著作を読み始めた。 日本の学界に対する不満が少々くどくはあるが、熱い思いはよく伝わってくる。 表題にもなっているパンダの偽の親指の謎は知的好奇心をそそられる内容。相変わらず豊富な図版で素人にもそのエッセンスが十分楽しめる。