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Dennis E. Shasha(著), 吉平健治(訳), プログラマのための論理パズル 難題を突破する論理思考トレーニング

問題はオリジナリティの高いものが多く、総じて質は悪くない。 ただし、最適値や最小値を求める系列の問題では、本当にそれが最適解であるかの証明が甘い部分が多く、訳者やレビューアにさらに最適な解を指摘されている箇所も目立つのが少し格好悪い。これは、著者がどちらかといえばヒューリスティックな問題や解法を好んでいるせいもある。
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岡本一南, 村上レシピ

村上春樹の小説に登場する食事を再現してみようという企画本。 当然、小説中で触れられていない細かい部分はかなり想像で補っているのは仕方ないところ。ハルキストならどうぞ。
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平塚晶人, 入門講座 2万5000分の1 地図の読み方

恥ずかしながら告白すると、普段トレイルランニングのトレーニングで山に入る際は、登山地図やGPSは持っていくものの2万5000分の1地図は持っていなかった。しかしそれでは、著者の指摘する通り、分岐という点と登山道という線を追うだけになりがちで、山を立体的に捉えることができない。もちろん、トラブル時の対処にも大きく差が出てくる。耳が痛い。 本書は、2万5000分の1地図の読み方を基礎から教えてくれる。本文を読みつつ、100枚近い地図を含む別冊地図帳をめくり、尾根や沢をなぞり、コー...
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日下三蔵(編), 大森望(編), 超弦領域 年刊日本SF傑作選

虚構機関に続く、年度別アンソロジーの2008年度版。今回も打率が高い。 中でも伊藤計劃の "From the Nothing, With Love" はまさに王道SFで私の好み。序文で氏の訃報を知ったが、残念でならない。 津原泰水の "土の枕" や最相葉月の "幻の絵の先生" など、SFと言って良いのか分からない作品も多いが、その質は間違いない。 また、Boichiのマンガは掘り出し物。今まで完全に見逃していた。
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阿佐田哲也, 阿佐田哲也の麻雀秘伝帳

長らく絶版になっていたせいで読み逃していた "阿佐田哲也のマージャン秘密教室" が新装版で復活。 全自動卓全盛の現在にはそぐわない積み込み系の技が多いが、実用書ではなく古典として読むべき本だろう。ルールの変遷など、歴史的に興味深い部分も多い。 最終章の "本技" は、出版年月からして、の原型となったと思われるもの。戦術論としてはいささか古臭さが否めないが、考え方自体は今でも通用するものがある。
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視覚デザイン研究所(編), 7日間でマスターするレイアウト基礎講座

7日間でマスターする配色基礎講座の前作に当たる本。 本当の基礎の基礎の部分なので、デザインを学んだことがない人向け。よくありそうな "ダメな例" とその改善例を対比させるスタイルは非常にわかりやすい。
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東浩紀(著), 恩田陸(著), 法月綸太郎(著), 宮部みゆき(著), 神林長平(著), 倉田タカシ(著), 小路幸也(著), 新城カズマ(著), 曽根圭介(著), 田辺青蛙(著), 津原泰水(著), 西崎憲(著), 大森望(責任編集), NOVA 2 書き下ろし日本SFコレクション

NOVA 1の続編、といいつつ著者陣は一新。もちろん、今回も全て書き下ろし。 前作と比べると "バベルの牢獄" や "夕暮にゆうくりなき声満ちて風" など、実験的作品も多くばらつきが大きい印象。東浩紀や宮部みゆきといった、あまりSF作家として認知していなかった作家が入っているのも面白い。 恩田陸の "東京の日記" が私好み。
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ココロ社, 超★ライフハック聖典 迷えるアダルトのための最終☆自己啓発バイブル

ライフハックや自己啓発本を茶化したネタ本。 だけど、こういった一見フザケた本にこそ一片の真理が含まれているような気もする。
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高橋洋一, さらば財務省! 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別

高橋洋一が小泉・竹中改革に携わっていた頃の話が中心。まさに "抵抗勢力" との対立真っ盛りの時期を描いているので、官僚システムの負の部分がよく分かる。 当時の大きな動きの原因と結果を直接的に繋げて見せてくれるので非常に読みやすいのだが、それが逆に他の多くの要素を切り捨ててしまっていないかが気になる部分がある。あくまで高橋洋一個人の視点からの回顧であることには注意が必要。
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中野京子, 危険な世界史

怖い絵の著者による世界史の小ネタ集。 世界史と言いつつほぼ全てが19世紀頃の西洋史だったり、怖い絵シリーズの内容と被るネタが多かったりするのはご愛敬。