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田口久美子, 書店風雲録

一世を風靡したセゾングループのリブロの内情を関係者視点で。著者は当時リブロを含めた様々な書店を渡り歩いていた書店員。リブロに特に思い入れがない人でも、当時の書店事情に興味があれば楽しく読めるだろう。 やたらと括弧が入るせいで流れが悪い文章がやや難か。
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メアリアン・ウルフ(著), 小松淳子(訳), プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?

言語学と脳科学の見事な融合。書を読むということが脳にどの様な影響を与えるのかという大きな問題への解を見事に示してくれる。 普段何気なく行っている読書という行為が、非常に複雑なプロセスの集合体であることに気付かせてくれる。つい読書を会得した子どもの頃に思いを馳せてしまった。
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山田奨治, <海賊版> の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争

現代の期限付きの著作権のきっかけとなった18世紀英国の法廷闘争を仔細に追いかけた作品。著作権の制限が決して遂行な理念だけではなく、海賊出版社の営利を求める姿勢によって生まれたというのは実に興味深い。
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本の雑誌編集部(編), 古本の雑誌 (別冊本の雑誌)

本の雑誌から古本関連の記事を再編集したもの。 町田周辺で過ごした時間が長い身としては、高原書店の話が聞けたのが嬉しい。
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施川ユウキ, バーナード嬢曰く。

読書をテーマにしたマンガ作品なのだが、読書家ぶりたい浅い読者を中心に持ってきたところが実に秀逸。それでいながら、本当の読書家の気持ちもさり気なく押さえているのもポイント。おすすめ。
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南信長, マンガの食卓

古今東西のマンガ作品を "食" のテーマで括ってまとめたもの。もちろん、単行本一冊ですべての食マンガを網羅することはできないのだが、主要な食マンガの流れはきちんと押さえられている。巻末には作品索引がつけられているのも嬉しい。
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片山ユキオ(著), 東百道(朗読協力・朗読原案), 花もて語れ (1) (2) (3) (4)

朗読というマイナーなテーマに挑んだマンガなのだが、これが面白い。 様々な文芸作品の読み解きが物語の柱となっており、謎が明らかとなった際のカタルシスが素晴らしい。今まで自分がいかに適当に本を読み流していたかを思い知らされる。
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赤田祐一, ばるぼら, 消されたマンガ

様々な理由で封印された作品の年代別カタログ。末尾には関係者のインタビューや年表も。 封印された理由は様々で、特に深い考察や強い主張はなし。あくまでもカタログとして見るべき本。
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佐藤秀峰, 漫画貧乏

著者が漫画 on Webを立ち上げるまでの過程を綴ったもの。冒頭には一時期話題になった著者の自己紹介漫画も収録。 ここまで喧嘩腰になる必要があるかはわからないが、リアルなお金の話は面白い。権利関係の考えなどは漫画家側の視点に偏りすぎてはいるが一理はある。
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小林弘人, 新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に

出版の未来を語った本。従来の新聞や雑誌に携わる人々を想定読者に置いているように見える。 大筋は納得できるが、他の書籍や記事でも語られているような内容が多く、驚きは少ない。カタカナ語が非常に多いのでルー語を読んでいる気分になるのがやや難。