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ピエール・バイヤール(著), 大浦康介(訳), 読んでいない本について堂々と語る方法

本来は読んでいなければならないはずの本を読んでいないということを半ば自虐的ながらも肯定的に捉え、その上でその本について語るにはどうするべきかということを論じた本。 そもそもある本を読んだとはどういうことなのかという根源的な問題まで改めて考えさせられる良書。おすすめ。
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鈴木みそ, ナナのリテラシー (1)

リテラシーというよりはコンサルタント的なお話。おそらく、"銭" の後継作品という位置付け。 1巻目のテーマは出版。構造的に衰退産業となっている出版業、特にマンガの世界のリアルなお金事情を描いてしまうあたりはさすが鈴木みそ。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのかを掴ませないところも見事。
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思緒雄二, 顔のない村

で発表後、社会思想社版のに収録されたものの、 創土社からされた際には削られてしまった不遇の作品がiOS Appとなっていた。 基本的にはベタ移植で、App化で削れるような指示文もそのまま。BGMやSEもなし。ただし、シナリオは一部書き足され、画像も新たに書き下ろされている。 無料で公開されているものの、一度に進めるパラグラフ数に限りがあり、制限を外すにはApp内での購入が必要。
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都築響一, だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

書店ガイドと書評を合わせたような本。全編から一貫して本への愛が感じられる。 書評はややサブカルチャー寄りのものや写真集が中心だが、普段それらをあまり読まない自分にも興味を惹かれるものが多い。
product

Kindle Paperwhite (第2世代)

電子書籍は勝ち馬が決まってから買う予定だったが、少し先行してハードウェアを試すために購入。いつでも乗り換えられるように、当面は青空文庫や無償コンテンツ、読み捨てられる本を中心に楽しむ予定。 初めて触った印象は "軽い" 。長時間の読書も苦にならない電子書籍はやはり専用ハードウェアである必要があると感じる電子ペーパーの読みやすさはかなりのもの。特に長時間読んだ後の疲労は液晶と大きな差がある読書中に割り込みが入らないというのは大きな利点。原理的には機内モードにしたスマートフォンで...
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岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。 出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。 (判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
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成毛眞, 面白い本

特に脈絡なく集められた各ジャンルの100冊の書評集だが、"面白い" という点だけは首尾一貫している。 著者が読書を道楽と定義している点が素晴らしい。何かの役に立つような読書ではなく、純粋に読書それ自身を楽しもうという姿勢には共感できる。 肝心の書評も、自分が面白いと思うものだけを取り上げていることもあり、熱が感じられる。ジャンルがノンフィクションとサイエンスにやや偏っているのはご愛嬌か。
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岡崎武志, 蔵書の苦しみ

タイトル通りの、蔵書をテーマにしたエッセイ集。著者自身の体験を中心に、知人や過去の文豪達の蔵書に関するエピソードなども。本好きの人間には共感できる内容も多い。 後半ではこの蔵書の苦しみの救世主となる可能性を秘めている電子書籍についても少しだけ触れているが、ITには疎いらしくやや上滑りしている様に感じる。
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黒川芳朱, パクリ学入門 ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド

パクリ (模倣) を軸に据えた書評集だが、寄せ集めた書評に対して無理にテーマを後付けした感が否めない。個別の書評も特筆すべき点はないが、いくつか興味深い本に出会えたのだけは救い。
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梶本洋子, 小林哲之, 藤井浩二, Wordでマスターする使えるビジネス文書 レイアウトの極意

Microsoft Wordだけで専用ソフト級の印刷物を作ろうという企画。オートシェイプを駆使して見事な絵を作り上げていくさまは感動的ですらある。ややバッドノウハウ的な技術も散見されるのはご愛嬌か。 使用しているのはWord 2000だが、オートシェイプの使いこなしなど最新版でも利用できる技術が多い。ただし、ある程度デザインの基礎知識がある読者が想定されていると思われ、一切デザインの勉強をしたことが無い人が一冊目に読む本ではない。