book

book

津野海太郎, 電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命

電子書籍をテーマに扱った本だが、電子書籍を礼賛するでもなく難癖を付けて批判するでもなく、広い意味での書物史の中での位置付けを探ろうとする姿勢が素晴らしい。 "季刊・本とコンピュータ" 誌を中心に掲載された記事を掻き集めていることもあり、後半は電子書籍から外れた話が多いのがやや残念か。
book

デヴィッド・L. ユーリン(著), 井上里(訳), それでも、読書をやめない理由

電子書籍普及への端境期である現代の読書論。様々なテクノロジーの割り込みにより読書に集中することが困難な時代に、抵抗の行為としての読書を論じる。 読書の重要性や美しさを論じながらも、単なるテクノロジー批判や懐古には陥っていない。テクノロジーとの距離を考えつつ、自分の読書体験を考え直すきっかけが多く含まれている。
book

永江朗, 本の現場 本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の企画・編集から流通までの現場を押さえたルポタージュ。やや雑多な内容ではあるが、全面を通して本への愛が感じられるのは良い。 再販制度への問題提起を反映して、本書も非再販となっているあたり芸が細かい。
book

門井慶喜, おさがしの本は

図書館のリファレンスカウンターを舞台にした連作短編集。 舞台が舞台だけに本探しにまつわるエピソードを期待してしまうが、それは序盤のみ。中盤以降は政治の話に押されすぎて本の話がどこかへ吹っ飛んでしまった。文庫一冊に様々なネタを詰め込みすぎた感がある。
comic

たかや健二, ぼくの藤子スタジオ日記

ぼくの藤子スタジオ日記。 "3D甲子園 プラコン大作" や "かっとび! 童児" などの連載で活躍する傍ら、藤子プロのチーフアシスタントも務めていたたかや健二による懐古漫画。 そこここから藤本・我孫子両先生への憧憬が感じられると共に両先生のお人柄が感じられるのが好印象。また当時のコロコロコミック読者には懐かしい名前が次々と出てくるのも嬉しい。
book

尾崎浩一, 危ない! 共同出版 夢を食い物にする錯覚商法

集団訴訟で話題になった新風舎の共同出版商法の糾弾本。 被害者側に大きく肩入れしているため、全編を通して新風舎憎しの論調であり、客観性はない。無知なままに共同出版契約を結ぼうとしている著者に注意喚起するという目的は達成されているが、ルポタージュとしての質は低い。 新風舎側の人間へのインタビューは、新風舎に嫌気がさして退職した元社員のみ。一番の見所は、その退職者から入手したとされる営業マニュアル。この種の詐欺に遭う人々がどういったキーワードに反応するかは興味深い。
product

本棚購入

引越をして少し部屋が広くなったので、本棚を追加した。 自作も考えたが、安くあがるものでもなく労力を考えるとあまり割に合わないので、既製品に。品質の割には比較的安価に見えた白井産業のスロフィーを注文した。 値段の割には品質はそこそこ。材質はプリント紙化粧繊維板だが、値段を考えれば仕方ない幅木カットが無いので注意が必要奥行き210mm (内寸190mm) の薄型を選べるのが嬉しい高さ1800mmの棚に上置き棚を乗せて天井で突っ張る形にできる"すべての棚が3cm間隔で移動できるので...
book

戸田プロダクション, 清く正しい本棚の作り方

清く正しい本棚の作り方のサイトを単行本化したもの。 前半はWebサイトからの流用が大半だが、後半は新たに本棚を作成しての書き下ろしと撮り下ろし。 元原稿は10年ほど前のものだが、現在でも理想的な本棚を取り扱うお店はほとんど無いので、自作は有力な選択肢であり続けている。
book

小林弘人, 新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に

著者はサイゾーやギズモード・ジャパンの立ち上げで知られる方。 話がポンポン飛ぶ雑多な構成とラフな文体が少々読みにくいが、"雑誌の役割はコミュニティを作ること" というメッセージは伝わってくる。
book

スティーヴン・ヤング(著), 薄井ゆうじ(訳), 本の虫 その生態と病理 絶滅から守るために

本の虫 (bookworm) は実在した! として、一冊丸々仕上げてしまったユーモア本。本の虫に寄生された場合の症状には思い当たるところが多い :-) 文中にちりばめられた小ネタの数々にもニヤリとさせられる。イザヤ・ベンダサン方式も効果的。