book

product

Kindle Paperwhite (第2世代)

電子書籍は勝ち馬が決まってから買う予定だったが、少し先行してハードウェアを試すために購入。いつでも乗り換えられるように、当面は青空文庫や無償コンテンツ、読み捨てられる本を中心に楽しむ予定。初めて触った印象は "軽い" 。長時間の読書も苦にならない電子書籍はやはり専用ハードウェアである必要があると感じる電子ペーパーの読みやすさはかなりのもの。特に長時間読んだ後の疲労は液晶と大きな差がある読書中に割り込みが入らないというのは大きな利点。原理的には機内モードにしたスマートフォンでも...
book

岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。(判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
book

成毛眞, 面白い本

特に脈絡なく集められた各ジャンルの100冊の書評集だが、"面白い" という点だけは首尾一貫している。著者が読書を道楽と定義している点が素晴らしい。何かの役に立つような読書ではなく、純粋に読書それ自身を楽しもうという姿勢には共感できる。肝心の書評も、自分が面白いと思うものだけを取り上げていることもあり、熱が感じられる。ジャンルがノンフィクションとサイエンスにやや偏っているのはご愛嬌か。
book

岡崎武志, 蔵書の苦しみ

タイトル通りの、蔵書をテーマにしたエッセイ集。著者自身の体験を中心に、知人や過去の文豪達の蔵書に関するエピソードなども。本好きの人間には共感できる内容も多い。後半ではこの蔵書の苦しみの救世主となる可能性を秘めている電子書籍についても少しだけ触れているが、ITには疎いらしくやや上滑りしている様に感じる。
book

黒川芳朱, パクリ学入門 ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド

パクリ (模倣) を軸に据えた書評集だが、寄せ集めた書評に対して無理にテーマを後付けした感が否めない。個別の書評も特筆すべき点はないが、いくつか興味深い本に出会えたのだけは救い。
book

梶本洋子, 小林哲之, 藤井浩二, Wordでマスターする使えるビジネス文書 レイアウトの極意

Microsoft Wordだけで専用ソフト級の印刷物を作ろうという企画。オートシェイプを駆使して見事な絵を作り上げていくさまは感動的ですらある。ややバッドノウハウ的な技術も散見されるのはご愛嬌か。使用しているのはWord 2000だが、オートシェイプの使いこなしなど最新版でも利用できる技術が多い。ただし、ある程度デザインの基礎知識がある読者が想定されていると思われ、一切デザインの勉強をしたことが無い人が一冊目に読む本ではない。
book

津野海太郎, 電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命

電子書籍をテーマに扱った本だが、電子書籍を礼賛するでもなく難癖を付けて批判するでもなく、広い意味での書物史の中での位置付けを探ろうとする姿勢が素晴らしい。"季刊・本とコンピュータ" 誌を中心に掲載された記事を掻き集めていることもあり、後半は電子書籍から外れた話が多いのがやや残念か。
book

デヴィッド・L. ユーリン(著), 井上里(訳), それでも、読書をやめない理由

電子書籍普及への端境期である現代の読書論。様々なテクノロジーの割り込みにより読書に集中することが困難な時代に、抵抗の行為としての読書を論じる。読書の重要性や美しさを論じながらも、単なるテクノロジー批判や懐古には陥っていない。テクノロジーとの距離を考えつつ、自分の読書体験を考え直すきっかけが多く含まれている。
book

永江朗, 本の現場 本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の企画・編集から流通までの現場を押さえたルポタージュ。やや雑多な内容ではあるが、全面を通して本への愛が感じられるのは良い。再販制度への問題提起を反映して、本書も非再販となっているあたり芸が細かい。
book

門井慶喜, おさがしの本は

図書館のリファレンスカウンターを舞台にした連作短編集。舞台が舞台だけに本探しにまつわるエピソードを期待してしまうが、それは序盤のみ。中盤以降は政治の話に押されすぎて本の話がどこかへ吹っ飛んでしまった。文庫一冊に様々なネタを詰め込みすぎた感がある。