fiction

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ソルジェニーツィン(著), 木村浩(訳), イワン・デニーソヴィチの一日

実は読んでいなかったロシア文学の名作。スターリン時代のラーゲリ (強制収容所) の一日を切り取った作品だが、その悲惨さを伝えると同時に、その制約だらけの生活の中でもわずかばかりの恩恵に与ろうと知恵を絞るいじましい人間の姿が描かれる。
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山本弘, MM9

山本弘の怪獣愛をそのまま形にした小説。ベタなキャラクタやストーリーでありながら、SF的な裏付けをきちんとつけているあたりが山本弘らしい。Webミステリーズで続編が連載されている様なので、こちらも出版が楽しみ。
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アントニオ猪木, 猪木詩集「馬鹿になれ」

実は元気が出ないときに繰り返し読んでいる一冊。詩において表現技法云々はあくまで脇役であることを思い知らせてくれる素直で力強い詩の数々。写真と合わせて、猪木の格好良さがどこまでも伝わってくる。猪木信者ではなくとも一度読んで欲しい。
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山本弘, 地球移動作戦

何というか、真っ当なSF。衝突が予想される謎の新天体を地球を動かしてかわすという直球ど真ん中なネタが清々しい。それでいてきちんとしたハードSFとして成り立っているのはさすが。また、本作は山本版大甲子園とも言える作品で、そこかしこに見覚えのある名前があるのもファンには嬉しいところ。古くはラプラスの魔やサイバーナイト、時の果てのフェブラリーまで元ネタとなっているので、探してみるのも一興。
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橘玲, 亜玖夢博士のマインドサイエンス入門

経済学の次はなんと脳科学。そうきたか。言ってしまえばSFに入る様な内容で、出てくるネタはそれなりに実現可能性があるものが中心。経済学のときと同様に各技術の本質をよく掴んでいると思うが、少々詰め込み過ぎな感はある。
comic

あさりよしとお, アステロイド・マイナーズ (1)

あさりよしとおの宇宙マンガ。まんがサイエンスで貯め込んだ知識をここぞとばかりに大放出。連作形式だが、どれも当たりばかり。宇宙開発にかかる膨大なコストという裏テーマが感じられ、単に荒唐無稽なSFに終わっていないあたりがさすが。おすすめ。
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森博嗣(作), 佐久間真人(画), 猫の建築家

表紙絵に惹かれて読んでみたら文の方も大当たりだった。猫好きならぜひ。
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伊藤計劃(著), 円城塔(著), 北野勇作(著), 小林泰三(著), 斉藤直子(著), 田中哲弥(著), 田中啓文(著), 飛浩隆(著), 藤田雅矢(著), 牧野修(著), 山本弘(著), 大森望(責任編集), NOVA 1 書き下ろし日本SFコレクション

大森望の責任編集によるSFアンソロジー。虚構機関とは違ってこちらはすべて書き下ろし。最近あまりSFを読んでいないせいか、読むのがツラく感じる作品も多い。その中で初めて読んだ小林泰三はかなり好み。
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マネー・ヘッタ・チャン, ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話

最近のマネーに関わるニュースを童話風に。ネタ自体はそこそこ情報リテラシの高い人にとってはあまり新しいものではないが、一気に読ませてしまう文章のセンスはなかなかのもの。著者のblogもおすすめ。
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富永直久, ワープロONE DAY 1日あれば10本指で打てる

古本で見つけて、懐かしくなって購入。中学生時代に (当時はお金もなかったので) 図書館で借りて授業中に練習をしていたら、本当に一日でタッチタイプができるようになったことを思い出す。教授法そのものに加えて、やる気にさせてくれるサイドストーリーが地味に良い。"熱中没頭の1日は、3万日を凌駕する" のフレーズは今も忘れられない。