food

book

水島弘史, 今日からおいしくなる洋食のシンプルルール

いわゆる普通の料理本と一線を画しているのは、ただのレシピブックではなく全ての料理の共通する基礎をきっちりと押さえているところ。扱っているのは、火加減、塩加減、切り方の3つの基礎的なルールだけだが、今までその基礎がいかに出来ていなかったかを思い知らされた。自己流でそこそこ料理ができていると思っている人にこそぜひ一度読んで欲しい。
book

野中柊, きらめくジャンクフード

キャッチーなタイトルの本をもらったので読んでみたが、中身がスカスカだった。食の専門家ではない様なので、身の回りの体験談ばかりになるのは仕方ないとは思うが、それでいてエッセイとしてちっとも面白くないのはどういうことか。
book

松永和紀, 食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない (シリーズ 地球と人間の環境を考える11)

声の大きい人たちがばらまいてきた食に関する "定説" を科学的な目できちんと検証している姿勢が素晴らしい。本書は食だけではなく環境をもテーマとしているため、巷でよく語られるエコロジーな定説の数々を取り上げている。これらを称して "気分のエコ" とはよく言ったもの。具体的には、地産地消 (フードマイレージ) 、食品リサイクル、有機農業など、一見してエコロジーに見え無批判に賛同されてしまう種類の "気分のエコ" がきちんと検証されている。著者のblogもおすすめ。
book

玉村豊男, 料理の四面体

長らく絶版となっていたが、この度めでたく文庫で復活した。タイトルにもなっている "料理の四面体" とは、ありとあらゆる料理をたった一つの四面体の表面にマッピングしてしまおうという試みのこと。こういったメタな料理論というのは類書があまりなく実に新鮮。しかしながら、それで既存の料理を分類できるということと、実際にそれを活用して創作するということの間には大きな溝がある気がする。
book

浅川芳裕, 日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率

自給率という指標が様々な問題を抱えているというのは周知の通り。本書の前半はその様に問題のある指標が生み出された背景として、農水省の利害を指摘している。後半は少しポジティブな話題で、日本農業の強さと将来の展望を扱う。この手の話題では避けて通れない食料安全保障の問題もきちんと扱われており好感が持てる。食糧事情に少しでも興味のある方には自信を持っておすすめできる。
book

畝山智香子, ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想

著者は食品安全情報blogの中の人。現在は、国立医薬品食品衛生研究所の主任研究官でもある。一日許容摂取量や最大残留基準値といった基準値の決定方法からリスク分析までよくまとまっている良書。食の安全に興味がある人にはblogと合わせて間違いなくお勧めできる。
book

唐木英明(著・監), 暮らしのなかの死に至る毒物・毒虫60

身の回りには思った以上に危険な毒が溢れている。毒科学や中毒学の専門家をそろえた著者陣だけあり、ただ危険を煽るだけの内容ではなく、リスクの高い毒に対する対処方法までがきちんと押さえられている。純粋に雑学的読み物としても悪くない。
book

小泉武夫, 奇食珍食

元となった単行本は1987年の刊行なので、小泉先生の著作の中ではかなり初期の作品。専門とする発酵食品だけではなく、著者が実際に食べ歩いた世界中のゲテモノ・いかものの類を扱っている。読み物としては申し分なし。
book

斎藤美奈子, 戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る

戦時中の記録のうち、婦人雑誌のレシピに目を付けたのは見事。ただし、資料をまとめましただけで終わってしまっているのが少し残念。この手の企画には、実際に試作・実食しての評価を期待してしまう。巻頭カラーに少しだけ当時のレシピに沿って調理した写真が掲げられているが、あまり本文とリンクしていない。
book

木村康宏, たちまち繁盛店! 1日300人が行列する人気ラーメン店のつくり方

ラーメン店向けのマーケティング本だが、ラーメン店に限らずもう少し広く活用できる内容が多い。もちろん、ラーメンフリークがその舞台裏を覗くのにもおすすめできる。