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戸川幸夫(作), 矢口高雄 (画), 野性伝説 羆風 飴色角と三本指

あの三毛別羆事件のマンガ。戸川幸夫の原作をベースに、木村盛武による調査成果を盛り込んでいる。羆視点のパートなどマンガとしての脚色が過ぎる部分もあるものの、史実とエンターテイメントを高いレベルで両立させている。野生動物と人間の双方に高い敬意が感じられるのも良い。
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ジョン・ケネス・ガルブレイス(著), 鈴木哲太郎(訳), [新版] バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか

バブルを引き起こす陶酔的熱病 (ユーフォリア/Euphoria) は繰り返し起こる現象であり、それから身を守るのは集団的狂気へ突っ走ることに共通する特徴の認識であるとと説く。それは具体的には、金融の天才の登場であったり、てこ (レバレッジ) の再発見であったり、何か新奇らしく見えるものであったりする。古典的なケースであるチューリップ狂やサウスシー・バブルでもこれらの特徴が見られる。 本書は徹頭徹尾、警告の書として書かれている。金融上の記憶は高々20年程度 (新しい世代の人が舞...
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隠岐さや香, 文系と理系はなぜ分かれたのか

文系と理系というよく話題に挙がる割にその正体がよくわからない区分を、科学史の観点から追いかけた良書。 文系と理系という分け方は自明なものではなく、中世に大学が生まれた時点の上級 (専門) 学部は神学、医学、法学のみで、いわゆる理系分野は下級 (学芸) 学部の自由学芸七科に押し込められていた。近代的な自然科学が形成されるのは17世紀以降で、経済学や社会科学の原型が作られるにはさらに時間を要している。文系と理系という分類が欧米諸国に登場するのは、20世紀初頭のリッケルトを待たなけ...
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白正男(作), 山戸大輔(画), テコンダー朴 (5) (6)

単行本がコアマガジンに移籍し新装版となった際に収録話数が変更となったため、青林堂版の3巻の続きがこのコアマガジン版の5巻からとなる。 しばらくはネットのネタが続き食傷気味だったが、ここに来て皇族関係のネタを突っ込んでくるなど昔の暴走気味の勢いが戻ってきたように感じる。
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ヤニス・バルファキス(著), 関美和(訳), 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

ギリシャの元財務大臣による経済入門書。子供向けと言うほどやさしくはないが、大人が経済の歴史を整理するのには良いと思う。 著者の予想する市場社会の未来図は興味深い。自動化、競争がコストを押し下げ、また自動化を進めるロボットは消費者ではないため需要をも押し下げる。その結果として価格が製造コストを賄えない水準まで押し下げられる。こうして起きる経済危機はマルクスの予想とも一致する。 第二次世界大戦中の捕虜収容所で生まれた経済の事例も興味深い。腐らず長持ちし持ち運びが簡単でその魅力が共...
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清涼院流水, コズミック

バーナード嬢曰く。での取り上げ方が気になって読んでみた。 壁本として酷評される理由は、その分厚さにあると感じる。最初からまともな密室トリックとして解決する気が感じられない事件を延々と19本も読まされるのはなかなか厳しい。
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藤子・F・ 不二雄, ドラえもん (0)

藤子・F・ 不二雄がドラえもんをコロコロコミックや学年誌の学年別に描き分けていたのは有名な話で、てんとう虫コミックス版はそれらからよりぬいて加筆修正したものとなっている。それだけに単行本に収録されていない作品も多々あるわけで、それらを完全収録した藤子・F・不二雄 大全集も刊行されている。その中で本書はドラえもんの連載第1話だけをすべて収録した簡易版とも言えるものだが、第1話を読むだけでもストーリーも台詞の言葉遣いも丁寧に読者の年代に合わせていることがよく分かる。てんとう虫コミ...
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更科功, 残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか

分子古生物学者による啓蒙書。生物学者には常識なのかもしれないが、門外漢にはなるほどと思わせる小ネタが多数。 あまり動かない生物は円形に近かったり左右非対称だったりするが、活発に動き回る動物はたいてい左右対称の "左右相称動物"。ただし動くときに関係ない体内はあまり左右対称になっていない生殖年齢を過ぎてもう子供を作らない個体に何が起きようが、自然淘汰は一切関知しない脳が大きい生物は空腹に弱い。ヒトの脳は体重の2%しかないが、エネルギーの20-25%も使う長い動物の歴史の中で、飛...
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池波正太郎(原作), 山田芳裕(漫画), 仕掛暮らし

へうげものの流れで時代モノ。迫力ある見開きこそないものの山田芳裕らしさがそこかしこからにじみ出ているのが良い。
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高橋名人, 高橋名人のゲーム35年史

高橋名人の自伝とゲーム史。名人は1959年生まれで社会人になりたての頃にマイコンが出始めた世代のため、ちょうど自伝とゲーム史が重なっている。 やはり面白いのは名人の裏話の数々。特に人気絶頂期のキャラバンはかなりギリギリの中で実現していたことがよく分かる。また、PCエンジンの誕生とともに「ファミコンの高橋名人」が一旦姿を消し、「ハドソンの高橋名人」としての活動が増えていく様子も、高橋名人のビジネスマン姿が垣間見えて興味深い。