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渡辺仁, セブン-イレブンの罠

金曜日の出版なので半信半疑で読み始めたが、意外にもまともな本だった。セブン-イレブンのフランチャイズ問題、特にロスチャージやオープンアカウント、ドミナントといった悪名高い問題に切り込んだドキュメンタリー。セブン-イレブンの異常なまでの高収益の源泉がどこにあるのかが見えてくる。全体を通じて読みやすい本だが、似たような話が多くやや冗長に感じる部分がある。これは情報源が限られているせいもあるかもしれない。法的な部分の解説はほぼ北野弘久日本大学名誉教授の受け売りで、多面的な見方ができ...
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岩松正記, 個人事業、フリーランス、副業サラリーマンのための 「個人か? 会社か?」から申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。

個人事業主や法人成りを検討している人のための税入門書。著者は "ぶっちゃけ" を売りにしている様だが、それでもやはり工学系の人間から見るとグレーゾーンが広く感じるのは税法の仕方ないところか。
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岩谷誠治, 借金を返すと儲かるのか?

会計の入門書だが、非常に分かりやすく噛んで含めるように教えてくれる。類書に良くある "決算書だけ読めればいい" というスタンスではなく、一番の基礎となる簿記から逃げずに (しかも平易に) 解説している点は評価できる。
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塚本宇兵, 指紋は語る “指紋の神様” と呼ばれた男の事件簿

警視庁鑑識研究所長まで務めた著者による指紋の入門書。指紋の基礎から説明されており、一切の予備知識無しで読める。また、さすがに現場の大ベテランだけあり、現場での採取方法や指紋を用いた推理の実例などの情報が非常に豊富。ヘタな推理小説よりもよっぽど面白く読める。少し不満だったのは、誤認逮捕を誘発しかねない第二種過誤の可能性に関する詰めが甘いところか。特徴点の多さを拠り所に説明しているが、各特徴点が独立であることを暗黙の前提としているのはいただけない。また確率の概算を行う際に、特定の...
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橘玲, 臆病者のための裁判入門

外国人の知人が巻き込まれた小さな民事事件に関わることとなった著者による裁判録。外国人の代理人として関わっている立場のため、日本の司法制度の問題点が非常に客観的に見えているのが良い。実際に事件に巻き込まれた場合の対処方法も参考になる部分が多い。どういった機関にどの順序で相談に行くべきかはもちろんのこと、弁護士や裁判官がどういった行動原理で動いているかも非常に重要。後半は単独の事件からは少し離れて司法制度一般の話。前半の裁判録は橘氏にしては少し珍しい内容であったが、こちらは平常営...
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野口大, 労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応

労務トラブル本の世界では労働者側に立った本が主流だが、こちらは徹底して企業経営者側に立った本。元々グレーゾーンが広い世界ではあるが、過去の判例から裁判所が重視する要素が抽出されておりわかりやすい。また、徹底して実務寄りの対処方法が示されている点も心強い。
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河合幹雄, 終身刑の死角

死刑について論じる本は多いが、こちらは仮釈放なしの終身刑がテーマ。超党派の議員連盟である "量刑制度を考える超党派の会" が仮釈放なしの終身刑を主張しているが、多分に感情的な主張であり、法学的にも刑務所の実運用的にも多くの難題を抱えていることがわかる。特に、仮釈放なしの終身刑となった受刑者はもはや怖いものがなくなるため刑務所内の統制がとれなくなる危険性は指摘されるまで気づきにくいところ。単に法学的な点から論じるだけでなく、刑務所内での処遇や他の制度との兼ね合い、受刑者の更生、...
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郷田マモラ, モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑囚の物語 (5) (6) (7)

7巻の完結編までまとめ読み。刑務官である主人公の視点で死刑制度の意味を考えるという構成は良いのだが、最後は感情的な結論に至ってしまっていたり、本来は死刑制度とは切り離して考えるべき冤罪問題をないまぜにしてしまったりしているのがやや残念。
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郷田マモラ, モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1) (2) (3) (4)

死刑制度をテーマにした作品。とりあえず4巻まで一気読み。悩める新人刑務官の視点を中心に、加害者の死刑囚、遺族、各種の支援団体、ベテラン刑務官など、さまざまな切り口から死刑制度を考える作品となっている。死刑制度の意義についても、賛成側反対側の双方の考えがきちんと取り込まれており、作者の取材の成果が伺える。絵は少々癖があり好みが分かれそうだが、このテーマは誰もが考えるべきもの。食わず嫌いをせずに読んでほしい。
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津田岳宏, 賭けマージャンはいくらから捕まるのか? 賭博罪から見えてくる法の考え方と問題点

麻雀ファンなら一度は疑問に思ったことのあるお題を現役の弁護士が追いかける。もちろん、刑法の条文解釈と判例の調査が基本になるのだが、それにとどまらずに雀荘関係者への取材を通じてボーダーラインを探ろうとする姿勢は素晴らしい。ただし、それで得られた結論が、都内のピンやテンゴのフリー雀荘は逮捕の可能性は殆ど無いが運が悪いと逮捕されることもある (逮捕実例あり) 、という曖昧なものであるのはやはり残念に思う。後半はそこからさらに飛躍して、刑法の賭博罪のあり方について。そもそもの賭博罪成...