mystery

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島田荘司, 占星術殺人事件 改訂完全版

未読の古典作品を読んでみるシリーズ。 30年以上前の作品ながら、今読んでも十分に楽しめる内容。トリック依存の小説ではあるが、そのトリックの質が良いので細かい粗はあまり気にならない。
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東野圭吾, ある閉ざされた雪の山荘で

歴史的な作品ながら未読だったので今更ながら。 いわゆる山荘モノだが、東野圭吾らしくきちんとひとひねりをきかせてある。幾重にも入り組んだ構造はお見事。
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綾辻行人, どんどん橋、落ちた

メタフィクション色が強めの連作短編集。 本格派を志向したフーダニット作が5本。作中ではフェアであることをこれでもかと強調しているが、かなりスレスレのところを狙ってきている印象。そういうものと割り切ってパズル的に読めばなかなか。
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西澤保彦, 七回死んだ男

人格転移の殺人が良かったのでこちらも。 ミステリに特殊能力を絡めてくる異端的な作品だが、それでいて読後にフェアな印象が残るのが素晴らしい。最近流行の頭脳バトルマンガに通じる面白さがある。
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詠坂雄二, 遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?

リロ・グラ・シスタに続く二作目。一作目とはガラリと作風を変えてきた。ハードボイルド色は影を潜め、文体も角が取れた印象。 作中作の構成、副題にもなっているホワイダニットを柱に据えたの謎解き、余韻を残す幕引きと、様々な趣向を凝らしてアイディアを惜しげもなく注ぎ込んでいるのが好印象。
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綾辻行人, 十角館の殺人 新装改訂版

古典作品を今更ながら読んでみる。いわゆる新本格のさきがけ的作品。 作品発表当時の時代背景を考えると、この仕掛けがいかに衝撃的だったかが分かる。
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詠坂雄二, リロ・グラ・シスタ the little glass sister

文体はかなり癖が強く、世界観もどこかゲーム的。そこが良い。 ひとつひとつの仕掛けだけを見ると古典的ではあるが、それらを多数組み合わせて学園ハードボイルドの味付けをすることで見事な個性を生んでいる。
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西澤保彦, 人格転移の殺人

SF要素含みのミステリ。突飛な設定ではあるが、ミステリとしてはフェアな範囲。 テンポが良く進むのは良いのだが、中盤がさすがに駆け足過ぎるか。
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東野圭吾, 仮面山荘殺人事件

十字屋敷のピエロに続いてもう一冊、東野圭吾の初期作品を。 冒頭からのそこはかとない違和感を小説だからとして無意識にスルーしていたが、その隙を見事に突かれた。帯の "本格ミステリーの傑作" のコピーには少々納得しかねるが、傑作であることには間違いない。
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歌野晶午, 死体を買う男

作中作という構造を活かした多層的な物語づくりは見事の一言。 著者の江戸川乱歩マニアぶりを十分に発揮した語り口も良いアクセントになっている。萩原朔太郎の人物造形も実に良い。