mystery

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歌野晶午, 増補版 放浪探偵と七つの殺人

8本の短編が詰め込まれているが、引き伸ばせば長編にできそうな作品も多く、かなり濃い目。歯ごたえのあるパズラー指向の作品が多く、その種の作品が好みならば間違いない。特に、"有罪としての不在" は出色の出来。探偵役の信濃譲二が登場する他の作品は読んでいないが、問題なく楽しめた。
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加納朋子, コッペリア

純粋なミステリとしてみると仕掛けの面白さは今ひとつだが、人形をテーマに据えた少し不思議な小説としてみると完成度が高い。
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坂口安吾, 不連続殺人事件

実はまだ読んでいなかった名作を読んでみるシリーズ。もちろんさすがの筆力なのだが、本作のようなパズラー寄りのミステリ向きかと問われると疑問が残る。序盤から大量の人物が一気に登場してくる構成もツラい。とはいえ、それらを脇において純粋な論理パズルとしてみると、緻密に構成された良作であることは間違いない。
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島田荘司, 占星術殺人事件 改訂完全版

未読の古典作品を読んでみるシリーズ。30年以上前の作品ながら、今読んでも十分に楽しめる内容。トリック依存の小説ではあるが、そのトリックの質が良いので細かい粗はあまり気にならない。
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東野圭吾, ある閉ざされた雪の山荘で

歴史的な作品ながら未読だったので今更ながら。いわゆる山荘モノだが、東野圭吾らしくきちんとひとひねりをきかせてある。幾重にも入り組んだ構造はお見事。
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綾辻行人, どんどん橋、落ちた

メタフィクション色が強めの連作短編集。本格派を志向したフーダニット作が5本。作中ではフェアであることをこれでもかと強調しているが、かなりスレスレのところを狙ってきている印象。そういうものと割り切ってパズル的に読めばなかなか。
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西澤保彦, 七回死んだ男

人格転移の殺人が良かったのでこちらも。ミステリに特殊能力を絡めてくる異端的な作品だが、それでいて読後にフェアな印象が残るのが素晴らしい。最近流行の頭脳バトルマンガに通じる面白さがある。
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詠坂雄二, 遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?

リロ・グラ・シスタに続く二作目。一作目とはガラリと作風を変えてきた。ハードボイルド色は影を潜め、文体も角が取れた印象。作中作の構成、副題にもなっているホワイダニットを柱に据えたの謎解き、余韻を残す幕引きと、様々な趣向を凝らしてアイディアを惜しげもなく注ぎ込んでいるのが好印象。
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綾辻行人, 十角館の殺人 新装改訂版

古典作品を今更ながら読んでみる。いわゆる新本格のさきがけ的作品。作品発表当時の時代背景を考えると、この仕掛けがいかに衝撃的だったかが分かる。
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詠坂雄二, リロ・グラ・シスタ the little glass sister

文体はかなり癖が強く、世界観もどこかゲーム的。そこが良い。ひとつひとつの仕掛けだけを見ると古典的ではあるが、それらを多数組み合わせて学園ハードボイルドの味付けをすることで見事な個性を生んでいる。