book 松島悠佐, 戦争の教科書 "戦争の" 教科書というよりも、"日本の安全保障の" 教科書といった色が濃い。 なぜ戦争が起きるのかというメカニズムに始まり、戦争が起きうる可能性を踏まえた上で日本がどのように備えるべきかまでが良くまとまっている。筆者独自の新規性はあまり見られないものの、戦争の本質や自衛隊のあり方を考えるための入門書としてはおすすめできる。 2009-03-22 book
book 鯖田豊之, 金 (ゴールド) が語る20世紀 金本位制が揺らいでも 20世紀の日本と世界の歩みを金本位制という視点から切り取った歴史書。歴史の教科書的な記述が続き気軽に読みにくい箇所もあるものの、金重量換算した外貨準備高を通じて国力の変動をマクロ的に眺めるという試みは非常に新鮮であり、それらは各国の継戦能力を反映しているという意味から軍事面でも興味深い。 特にその軍事面に注目すると、太平洋戦争緒戦の日本の戦果が米国への膨大の金現送と軍需物資の買付に依存していたことは他の歴史書ではあまり触れられることのない事実かと思う。また、日清・日露戦争の間... 2009-02-08 book
book 池田信夫, ハイエク 知識社会の自由主義 ハイエクの入門書。専門外の人間がいきなりハイエク全集を読むのはかなり厳しいのでありがたい。 今まではハイエクを行き過ぎた自由主義者であるいわゆるリバタリアンだという理解しかなかったが、それが生まれた時代背景と、その背後にある自由主義的な考えと保守主義的な考えとの双方がはじめて繋がった。 後半は池田信夫blogでも度々取り上げられている知的財産権や電波割当の問題に繋がる。このblogを読む人ならば本書も読んでおいた方が良いだろう。 2008-11-27 book
book 保阪正康, 大本営発表という権力 都合の良いことのみを公式に発表し、都合の悪いことは隠してしまう。今ではそんな意味で使われている "大本営発表" にスポットを当てる。 45ヶ月間に行われた全846回の大本営発表をつぶさに追いかけることで、当時の軍事指導層の思考が浮かび上がってくる。さらに当時の知識人たちの残した記録を併せて見ることで、その時代の空気までもが浮かび上がってくる。 言論統制を行うことの危うさや、また国民の側から見た知る権利の重要さを知る上でも貴重な一冊。 2008-09-26 book
book 鄭大均, 在日・強制連行の神話 いわゆる強制連行の実像に迫る本。 本書で取り上げられる多くの文献や証言は、在日一世の多くがチャンスを求めてもしくは教育を受けに自らの意志で日本に渡ってきたことを示している。また、強制連行の神話がどのように広がってきたかについてもきちんと踏み込んでいるのが素晴らしい。 2008-04-15 book
book 藤和彦, 石油を読む 第2版 地政学的発想を超えて 石油はもはや戦略物資などではなく、国際市場で流動的に取り引きされるコモディティであるという主張。地政学的なリスクよりも、投資マネーの動向による価格変動のリスクの方がはるかに大きいという点は同意できる。 現在の国際石油市場の様子、OPECやメジャーの凋落など、この一冊で現在の石油を取り巻く状況がよくわかる。おすすめ。 2008-02-29 book
book 中村秀樹, 本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種 元海上自衛隊潜水艦長の著作だけあって、現在の海上自衛隊の状況がよく伝わってくる。 3章の第二次世界大戦における日本海軍潜水艦作戦に多くのページを割いているのが特徴的で、海軍時代から続く潜水艦運用の問題点が浮き彫りになっている。このあたりは興味がないと少々退屈になりがちなところではあるが、他の戦史本よりははるかに読みやすくまとめている。 2008-02-07 book
book 田中優, A SEED JAPANエコ貯金プロジェクト, おカネで世界を変える30の方法 A SEED JAPANのメンバーが社会的責任投資を紹介する本。彼らのようなNGO/NPOの考え方を知るためには良い本だと思う。しかしながら、本当に彼らの言う仕組みを実現した際にどれだけ負の効果が出てくるのかの踏み込みが浅く、良い面だけが取り上げられている様に見える。 2008-01-05 book
book 中條辰哉, 日本カジノ戦略 著者の中條氏はネバダ州立大でカジノ経営学を学んだ後、ラスベガスのカジノでの勤務経験もある方。 ラスベガスのカジノの経営がどのように行われているかといった話題は面白いが、カジノに興味のある方なら既に知っていることも多いと思う。また、標題にもある日本カジノの戦略については、非常にざっくりとした議論しか行われていないのが残念。 2007-12-26 book
book 大川豊, 日本インディーズ候補列伝(DVD付) しばらく追いかけていないうちに、大川総裁はこんなことをしていた。 外山恒一や又吉イエスといったネット上のメジャーどころとはちょっと違う路線。山口節生、羽柴誠三秀吉らを中心に、全国の候補者の演説を巡り取材を敢行した労作。付録のDVDも厳選された貴重な映像ばかり。おすすめ。 2007-10-08 book