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黒咲一人, 55歳の地図

紙の方は絶版で古書価格も上がりすぎているのでKindle版で。 仕事がなくなったマンガ家の四国八十八箇所巡拝。それだけと言ってしまえばそれだけの作品だし絵柄も一昔前なのだが、それでも圧倒される迫力を感じるのは、自分が歳を取ったせいなのかもしれない。
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手持望, カルトの思い出

おそらく天業古代王朝 (ただし、著者が所属していた当時はおそらく別の名称だったはず) の元信者による実録エッセイマンガ。絵も含めてかなり軽めのタッチではあるが、内容は重め。 あくまで末端信者の一人称視点のためやや客観性には欠けるものの、体験記としての生々しさは見事に伝わってくる。
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島田裕巳(監修), ウチの母が宗教にハマりまして。藤野美奈子(著)

新興宗教の実録エッセイマンガ。 身内の話ということもあり感傷的になるのは理解できるが、それでも無理やりカルトに肯定的に持っていく展開には違和感がある。高額なお布施の問題もウヤムヤにされてしまっている。
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米本和広, 洗脳の楽園 ヤマギシ会という悲劇

カルト村で生まれました。で気になって読み始めたが、大変な労作だった。 何と言っても、ヤマギシ会への入会に必須となっている特別講習研鑽会 (特講) への潜入ルポが見事。観察者として臨みながらも影響を受けてしまう様子には特講の巧みさとその恐ろしさを感じざるを得ない。斎藤環ら精神医学の視点からの分析も実に興味深く、特講が (理論に基づいて構築されているかは別にして) いかに効果的で危険な仕組みかを裏付けてくれる。おすすめ。
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高田かや, カルト村で生まれました。

ヤマギシズム学園出身の女性の体験談。 コミックエッセイ風の軽いタッチで描かれているが、内容はかなり壮絶。著者が (少なくとも作中では) 前向きであることは救いだが、適応できなかった二世のことを思うといたたまれなくなる。
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ダニエル・L・エヴェレット(著), 屋代通子(訳), ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観

いわゆる普遍文法の枠に納まらない (と主張される) ピダハン研究の第一人者による著作。一般向けの啓蒙書で、現地のエピソード中心のため、言語学の知識がなくても楽しめる。 他の多くの言語に見られる数の概念、創造神話、再帰、間接的な体験の表現といった多くの要素が欠けているとされるピダハンの存在には、専門の学者ならずともワクワクさせられる。また本書ではあまり詳しく語られないが、キリスト教の伝道師として現地入りした著者が逆に改宗に至ったというエピソードも実に興味深い。
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石井希尚, この人と結婚していいの?

著者は牧師でありながら、カウンセリングも行っている方。その経験を活かした結婚アドバイス。 多分に主観的な内容が続くが、一つのエッセイとしてみれば悪くない。
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Caleb Melby (Written by), JESS3 (Concept, Design, Illustration), The Zen of Steve Jobs

Steve JobsとKobun Chino Otogawa (乙川弘文) の交流を描いたマンガ。出来過ぎた話が多く、どこまでが史実でどこからが創作がわからないが、読み物としては文句なし。日本のマンガとはまた違ったデザインも良い。
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谷口ジロー(著), 荻原美和子(原作), とも路

久しぶりの谷口ジローの新作。 序盤から主人公の内田友司があまりに理想的な出来た人物で、どことなく教科書臭さを感じる。後に結ばれる伊東文明もどこか聖人的な雰囲気を感じさせ、何事かと思っていると唐突な幕切れ。巻末と奥付を見ると、何の事はない、真如苑の機関紙に掲載された作品であった。
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ジェイムズ・J・ボイル(著), 大島直子(訳), 戦慄のカルト集団 11の狂気教団が引き起こした衝撃の殺戮劇

米国のカルトの事例集。 日本では馴染みのないカルトが多く、また多数の事例が淡々と並べられているだけで個々の人物を深く描いているわけでもないので、読み物としては少々退屈。それでも、これだけの件数をまとめて読むとカルトの成り立ちや行動原理に類似したものが見つけられるのも事実。