science

book

Dennis E. Shasha(著), 吉平健治(訳), プログラマのための論理パズル 難題を突破する論理思考トレーニング

問題はオリジナリティの高いものが多く、総じて質は悪くない。ただし、最適値や最小値を求める系列の問題では、本当にそれが最適解であるかの証明が甘い部分が多く、訳者やレビューアにさらに最適な解を指摘されている箇所も目立つのが少し格好悪い。これは、著者がどちらかといえばヒューリスティックな問題や解法を好んでいるせいもある。
book

畑村洋太郎, 直観でわかる数学

失敗学で有名な畑村先生の著作。数学を専門としない工学者目線には共感できる部分が多い。ただし、とりあえず書きやすい所から書いているという感があり、系統だった説明ではないのが残念。
book

ルイス・アンドレ・バロッソ(著), ウルス・ヘルツル(著), 丸山不二夫(監修), 首藤一幸(監修), 浦本直彦(監修), 高嶋優子(訳), 徳弘太郎 (訳), Googleクラウドの核心 巨大データセンターの変貌と運用の経済学

の訳書。原題通りの内容で、いくら売り上げのためとはいえ、表題に "Google" や "クラウド" といった流行り言葉を無理矢理埋め込むのは感心できない。やや工学系論文のような堅さがあるが、内容はしっかりしている。これからのデータセンター、とくにWSC (Warehouse-Scale Computer) に興味のある人には必読だろう。
book

花里孝幸, ネッシーに学ぶ生態系

以前読んだ本が良かったので、他の著書も読んでみた。第1章でタイトルにあるとおり、生態学の専門家から見てネッシーの様な巨大生物がネス湖で長期にわたって生き続けられる可能性はあるのかを大真面目に検討している。このアプローチは既存の写真や目撃証言だけを巡ってああでもないこうでもないと議論しているのと一線を画しており、その手があったかと思わず唸ってしまった。後の章では生態系をテーマにした様々な話題が取り上げられる。全体を通して、(生物学者ではない) 一般の人々が思い込んでいる生態系と...
book

高橋久仁子, フードファディズム メディアに惑わされない食生活

フードファディズム批判本。内容は概ね真っ当だが、食料自給率を無批判に取り上げている箇所が見られたり、本論との関係が薄い男女共同参画に丸々一章を割いていたりするのは疑問。
book

水島弘史, 今日からおいしくなる洋食のシンプルルール

いわゆる普通の料理本と一線を画しているのは、ただのレシピブックではなく全ての料理の共通する基礎をきっちりと押さえているところ。扱っているのは、火加減、塩加減、切り方の3つの基礎的なルールだけだが、今までその基礎がいかに出来ていなかったかを思い知らされた。自己流でそこそこ料理ができていると思っている人にこそぜひ一度読んで欲しい。
book

若原正己, 黒人はなぜ足が速いのか 「走る遺伝子」の謎

大丈夫なのかこのタイトル、と思ったが内容は意外と科学的。人種間の運動能力の差についてはオリンピックの結果を軽くまとめただけで流して、遺伝子の細かい話が本題。妙に細部に踏み込む割には、すっきりと納得できる内容があまり多くない。
book

谷岡一郎, エッシャーとペンローズ・タイル

近頃は社会学系の本を出さずに趣味のSFやパズル、ポーカーあたりに浮気していると思ったら、今度はペンローズ・タイルときた。数学者ではないので厳密さには少し欠けるが、十分に知的好奇心を刺激してくれる内容。図版も豊富で、眺めているだけでも十分に楽しい。おすすめ。
book

松永和紀, 食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない (シリーズ 地球と人間の環境を考える11)

声の大きい人たちがばらまいてきた食に関する "定説" を科学的な目できちんと検証している姿勢が素晴らしい。本書は食だけではなく環境をもテーマとしているため、巷でよく語られるエコロジーな定説の数々を取り上げている。これらを称して "気分のエコ" とはよく言ったもの。具体的には、地産地消 (フードマイレージ) 、食品リサイクル、有機農業など、一見してエコロジーに見え無批判に賛同されてしまう種類の "気分のエコ" がきちんと検証されている。著者のblogもおすすめ。
book

山本弘, 江藤巌, 皆神龍太郎, 植木不等式, 志水一夫, 人類の月面着陸はあったんだ論 と学会レポート

へのアンサーソング。いつものと学会節で小気味よく楽しめる。予備知識なしで読める構成となっているのも良い。と学会のファンならば読んで損なし。