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若原正己, 黒人はなぜ足が速いのか 「走る遺伝子」の謎

大丈夫なのかこのタイトル、と思ったが内容は意外と科学的。人種間の運動能力の差についてはオリンピックの結果を軽くまとめただけで流して、遺伝子の細かい話が本題。妙に細部に踏み込む割には、すっきりと納得できる内容があまり多くない。
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谷岡一郎, エッシャーとペンローズ・タイル

近頃は社会学系の本を出さずに趣味のSFやパズル、ポーカーあたりに浮気していると思ったら、今度はペンローズ・タイルときた。数学者ではないので厳密さには少し欠けるが、十分に知的好奇心を刺激してくれる内容。図版も豊富で、眺めているだけでも十分に楽しい。おすすめ。
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松永和紀, 食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない (シリーズ 地球と人間の環境を考える11)

声の大きい人たちがばらまいてきた食に関する "定説" を科学的な目できちんと検証している姿勢が素晴らしい。本書は食だけではなく環境をもテーマとしているため、巷でよく語られるエコロジーな定説の数々を取り上げている。これらを称して "気分のエコ" とはよく言ったもの。具体的には、地産地消 (フードマイレージ) 、食品リサイクル、有機農業など、一見してエコロジーに見え無批判に賛同されてしまう種類の "気分のエコ" がきちんと検証されている。著者のblogもおすすめ。
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山本弘, 江藤巌, 皆神龍太郎, 植木不等式, 志水一夫, 人類の月面着陸はあったんだ論 と学会レポート

へのアンサーソング。いつものと学会節で小気味よく楽しめる。予備知識なしで読める構成となっているのも良い。と学会のファンならば読んで損なし。
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畝山智香子, ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想

著者は食品安全情報blogの中の人。現在は、国立医薬品食品衛生研究所の主任研究官でもある。一日許容摂取量や最大残留基準値といった基準値の決定方法からリスク分析までよくまとまっている良書。食の安全に興味がある人にはblogと合わせて間違いなくお勧めできる。
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久保大, 治安はほんとうに悪化しているのか

治安が悪化しているというのは近頃よく耳にするが本当のところはどうなのか、という本。公開情報である犯罪白書を少し注意して読むだけで、様々なカラクリが見えてくる。リテラシ本としても上々。
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唐木英明(著・監), 暮らしのなかの死に至る毒物・毒虫60

身の回りには思った以上に危険な毒が溢れている。毒科学や中毒学の専門家をそろえた著者陣だけあり、ただ危険を煽るだけの内容ではなく、リスクの高い毒に対する対処方法までがきちんと押さえられている。純粋に雑学的読み物としても悪くない。
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藤田一郎, 脳ブームの迷信

本物の脳研究者である藤田一郎による脳ブーム懐疑本。ワープロ打ちそのままの様な男らしい書式だが内容は本物。
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荒俣宏, 想像力の地球旅行 荒俣宏の博物学入門

主に近代の博物学がどのように発展してきたかを大きな流れで掴める。まだまだ未知の世界があった頃の世界探検の興奮が伝わってくる良書。さすが荒俣先生というべき蔵書の数々から採られた図版も眺めているだけで楽しい。
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ASIOS, 謎解き 超常現象 II

謎解き 超常現象の続編。前作とほとんど同じスタイルを踏襲している。新ネタも多く、また他の本からの引き写しではない独自調査が多いのも嬉しいところ。