sociology

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河内孝, 新聞社 破綻したビジネスモデル

著者の河内氏は元毎日新聞の常務取締役とのこと。内部の人間だけあって、今までの部数至上主義が招いた弊害や押紙問題はよくまとまっている。また、多くの紙幅をさいている新聞とテレビの系列化によるメディアの独占問題も興味深い。しかしながら、提示される未来像は今ひとつ。毎日、産経、中日を中心とし、読売、朝日に続く第三勢力を作るという私案はさすがに所々に無理を感じる。また、ネットとの競合については申し訳程度に触れられているだけなのが残念。
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ホイチョイ・プロダクションズ, 気まぐれコンセプト クロニクル

寝る前に少しずつ読んでいたがようやく終わった。この値段でこのボリュームはお得感がある。私の世代と業界からはあまり共感できるものではないが、読み物としては面白い。ただし下ネタが多いので、嫌いな向きはご注意を。
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小室直樹, 論理の方法 社会科学のためのモデル

論理 (ロゴス) を使いこなすために必要なモデルの作り方を、多数の例を用いて説明している。そのモデルの例は、マルクスのモデルに始まり、経済学のモデル、ケインズ・モデル、一神教モデル、丸山真男教授の日本政治モデル、平泉澄博士の国史モデルと幅広く、小室先生の博識ぶりにいつもながら圧倒させられる。もちろん、小室先生の軽妙な語り口も健在。おすすめ。
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渡辺千賀, ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない)

テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らしで有名な浦辺千賀さんの作品。現在のシリコンバレーの空気を伝える本だが、そのうちのいくらかはいずれ日本にも伝わってくるのだろうと感じる。大量の脚注は内容は面白いのだけれどちょっとテンポがそがれる感じなので、構成を工夫して欲しかった。
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パオロ・マッツァリーノ, つっこみ力

パオロ氏お得意の統計漫談。今回は「つっこみ力」というテーマが据えられているが、やってることは今までと変わりない。相変わらず軽快な語り口も見事。
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泉昌之, ダンドリくんBlack

風俗版のダンドリくん (厳密にはダンドリくんとダンドリくんBlackは別人だけど) 。一応ダンドリらしきことはしているが、テーマがテーマだけに、ダンドリくんの続編として読むと違和感がある。別の作品として割り切って読むなら十分に面白い。
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安田理央, 雨宮まみ, エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること

エロ本文化の衰退と、アダルトビデオの進化の2つのテーマが柱。最後にインターネットの影響と次世代アダルトメディアも語られているが、こちらは少し踏み込みが浅いか。特に、サブカルチャーの受け皿であったエロ本が、裏モノ雑誌に食われていった経緯が興味深い。
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稲森謙太郎, 知られざる特殊特許の世界

出張帰りの新幹線の中で読破。トンデモな特許を笑うだけの本かと思っていたら、意外とマトモな特許解説が行われていて驚く。特殊特許の合間に挿入されるコラムは、特許の基本を身につけるのに十分なレベル。もちろん、ネタ的にも十分笑えるものが揃っているので、そういった向きにもおすすめできる。
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ロバート・A・グーラ, 山形浩生(訳), 論理で人をだます法

「だます法」という題になっているが、実際にだますテクニックを学ぶという本ではないと思う。屁理屈な論理を類型化して笑い飛ばしたり、またそれらのパターンを知ることで検出できるようにするための本。翻訳は山形氏なので上々。
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架神恭介, 君主論太郎, 辰巳一世, 完全覇道マニュアル はじめてのマキャベリズム

マキャベリの名著であるの入門書だが、小学校をのクラスの覇権争いを題材にしているのが面白い。天下取りといっても、その実は小学校の勢力争いの延長ということだろう。文章が軽めの上、短めのストーリーに区切られているのでサクサク読める。しかしながら、40人のクラスでの覇権争いを描く都合上、序盤から一気に多数の勢力が登場するので、公式サイトにある5年3組勢力図を手元に置きながら読むのがおすすめ。また、覇権争いの合間に挿入される、ふくろう先生の解説が殺伐としていて実に良い。聞き手のはなこち...