sociology

book

小塩隆士, 教育を経済学で考える

実データに基づいた検証よりも、理論が中心な本です。興味深いところだけ下に抜き書きしておきます。この辺のお話に興味があれば買いです。教育は投資と消費の両方の性質を持っている。教育はお金を出す人 (多くは親) と、サービスを受ける人 (多くは子) が異なる場合が多いという点が他のサービスと異なる教育投資がなされるのは不確実性が高いため教育はコール・オプションの購入と近い性質がある教育は本質的に格差を拡大する効果がある
diary

オレオレ詐欺

昼休みに実家の母から電話があった。普段、昼に電話がくることなどないので何事かと思ったら、新種のオレオレ詐欺と思われる電話がかかってきたので念のために確認の電話をしてきたらしい。上ではオレオレ詐欺と書いたが、「オレオレ」ではなく私の本名を名乗ったようなので厳密にはオレオレ詐欺ではないかもしれない。しかし、手口は本質的には同じで、「友人の保証人として肩代わりすることになった借金180万円を払えなくて困っているので振り込んで欲しい」というストーリーだったそうだ (fukumoto母...
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谷岡一郎, こうすれば犯罪は防げる 環境犯罪学入門

ギャンブル関連の書籍でも有名な谷岡一郎先生による環境犯罪学の入門書です。環境犯罪学 (Environmental Criminology) とは、環境を改善することで犯罪の発生を未然に防ぐ学問です。ここで環境とは、町並みや、店のレイアウト、住宅の庭や塀の作りなどの広い範囲を指します。最近ニューヨークの治安回復で話題になったブロークンウィンドウ理論もその成果の一つです。本書はこれらの環境犯罪学の考え方が豊富な実例と共に示されており、興味深く読めます。また、環境犯罪学の理論や変遷...
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小室直樹, 大越俊夫, 人をつくる教育 国をつくる教育

小室先生と大越先生の共著となっていますが、実質的には小室先生が講義をするスタイルですすめられます。小室ファンにも安心です :-)まずは、現在の日本の教育の現状が小室先生の他の著作でも頻繁に登場するアノミー (無連帯) の概念を使って説明され、学校教育で行動規範を教えない点が最大の問題であることを看破しています。その後、多くの偉人を生んだ吉田松陰の教育を例に挙げ、日本の教育の在り方について語られています。他の小室本と同様、教育という難解なテーマにもかかわらず平易な文章で語られた...
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有馬哲夫, ディズニーとは何か

ソニー・ボノのアレ以来、ちょっとまじめにディズニー関連本を読んでます。この本は、ディズニーの歴史から、ディズニーと人種問題・フェミニズム・アメリカ史との関わり、ディズニーと諸外国の文化摩擦、日本にとってのディズニーまで幅広く一通りのことが押さえられていてお勧めです。
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小室直樹, 日本人のためのイスラム原論

一時期のイスラム本ブームが落ち着いて、駄本はだいぶ淘汰されたようなので読み始めてます。まじめに読めば読むほど、自分がいかにイスラム世界について知らなかったかを思い知らされます。一度は世界をとった文化圏なのに。なお、同じ小室先生によるなども合わせて読むとより理解しやすいかと思います。
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アリエル・ドフルマン, アルマン・マトゥラール, ドナルド・ダックを読む

表紙に "だれでも知っている文化侵略と子供文化研究の古典" 、"ディズニー漫画に見る帝国主義イデオロギー" などアレなコピーが踊ります。その表紙の通り、内容はかなり反米感情が強く感じられますが、アジェンデ政権下のチリの文化革命の最中に出版された本であるため、そのことを考慮する必要があります。とはいえ、その点を差し引いて考えたとしても、ディズニー漫画に対する批評の多くは的を射たものです。ディズニーに対して違和感を感じている方は一読するべき本かと思います。
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岸田秀, ものぐさ精神分析

岸田先生お得意の唯幻論を中心とした雑文集。米国とイラクのアレが起きた今、「国家論 -- 史的唯幻論の試み」を読むと感慨深いものがある。同じように、アメリカが他民族の大量虐殺というその痼疾的反復強迫をやめるようになるためには、原住民の大量虐殺の経験を正当化するのをやめなければならない。これは大変なことである。それは欺瞞と暴力で奪った土地を原住民に返すことを意味し、さらに、自由、平等、民主のその共同幻想が偽りに過ぎなかったことを認めることを意味する。これは、アメリカ国家の基盤を崩...
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トム・デマルコ, ティモシー・リスター, ピープルウエア 第2版

ソフトウェア開発プロジェクトの管理に関するエッセイ&ノウハウ集。ソフトウェア開発を対象としていますが、ホワイトカラーの仕事全般に当てはまることも多く、参考になります。
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小室直樹, 日本国憲法の問題点

日本国憲法のうち最も重要な条文は第十三条であり、それが軽視されているために日本では民主主義や資本主義が機能しない、との主張を相変わらず軽快な小室節で。