art

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木村泰司, 名画は嘘をつく

西洋美術の名作によくある誤解を扱った雑学本。ボリュームは軽めだが、西洋美術に詳しくない向きには十分な情報量。フルカラーなのも嬉しい。
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北大路魯山人(著), 平野雅章(編), 魯山人の美食手帖

魯山人の食エッセイ。後半は陶芸の話題も少々。やや日本賛美が行き過ぎるのと名指しでの批判が引っかかるが、そこに目をつむれば食への見識はさすがと感じる。
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トーマス・トウェイツ(著), 村井理子(訳), ゼロからトースターを作ってみた

この "ゼロから" は、自然の中にある材料から、という意味。鉄鉱石を精錬し、マイカ (雲母) を引き剥がし、銅を電解精錬し、とバカバカしくも見事な企画。何気なく使っている安価な家電製品が世界中の様々な工業的プロセスに依存していることに気付かせてくれる。著者はRoyal College of Artの学生で、卒業制作としてこのプロジェクトに取り組んだとのこと。学生故の準備不足や無計画さが目に付き、所々やむなく初心を曲げてしまっている個所もあるが、そういった細かい点を吹き飛ばすほ...
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谷口ジロー, 千年の翼、百年の夢

ルーブル美術館を舞台に夢と現の間を飛び回りながら、その歴史の重みを感じさせてくれる。ルーブル美術館という尻込みしてしまうような題材を描き切る谷口ジローの筆致も見事。
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中村孝司, みかんの面白いむき方大百科

YouTubeで話題になり、その勢いで単行本化。あくまでも一発ネタなので過剰に期待すると裏切られるかもしれないが、ネタ本と割り切るのならばアリ。
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岡田好弘(作), 神谷圭介(絵/文), あたらしいみかんのむきかた

タイトルそのままの本だが、実におバカで良い (褒め言葉) 。もはやみかんを剥くというレベルを超え、芸術の域にまで昇華している。
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寄藤文平, ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン

大人たばこ養成講座で有名な寄藤文平によるラクガキ指南。絵心のない人間にはラクガキと言ってもレベルが高すぎる気もするが、読み物としては上々。
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吉長成恭(編), 中川重年(編), 関根秀樹(編), 焚き火大全

アウトドア本は数あれど、焚き火というものをここまで掘り下げた本はまさに空前絶後。単なるノウハウ本の粋を超えて、文化や風俗の視点からも評価できるまでに昇華している。周辺情報も充実しており、焚き付けの集め方から焚き火を利用した調理、焚き火を取り上げた芸術作品、世界の焚き火事情まで隙がない。
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作家の猫

目の付け所が見事な企画本。明治期以降の作家が中心で、写真も豊富なフルカラー。
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フェイス・ダルージオ(著), みつぢまちこ(訳), 地球の食卓 世界24か国の家族のごはん. ピーター・メンツェル(著)

世界各国の家族を訪ね、1週間分の食料を見せてもらう試み。経済的にも気候的にも文化的にも幅広く選択されている。大判を活かした美麗な写真の数々はまさに眼福。個人的な好みもあるが、中国やグリーンランドなど、伝統的な食生活に近代化の波が押し寄せている様子が堪らない。レイアウトが今ひとつなのが残念。文章の流し込みがまずく、一連の文章が生き別れになっている箇所が散見される。