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comic

赤田祐一, ばるぼら, 消されたマンガ

様々な理由で封印された作品の年代別カタログ。末尾には関係者のインタビューや年表も。 封印された理由は様々で、特に深い考察や強い主張はなし。あくまでもカタログとして見るべき本。
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佐藤秀峰, 漫画貧乏

著者が漫画 on Webを立ち上げるまでの過程を綴ったもの。冒頭には一時期話題になった著者の自己紹介漫画も収録。 ここまで喧嘩腰になる必要があるかはわからないが、リアルなお金の話は面白い。権利関係の考えなどは漫画家側の視点に偏りすぎてはいるが一理はある。
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小林弘人, 新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に

出版の未来を語った本。従来の新聞や雑誌に携わる人々を想定読者に置いているように見える。 大筋は納得できるが、他の書籍や記事でも語られているような内容が多く、驚きは少ない。カタカナ語が非常に多いのでルー語を読んでいる気分になるのがやや難。
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ピエール・バイヤール(著), 大浦康介(訳), 読んでいない本について堂々と語る方法

本来は読んでいなければならないはずの本を読んでいないということを半ば自虐的ながらも肯定的に捉え、その上でその本について語るにはどうするべきかということを論じた本。 そもそもある本を読んだとはどういうことなのかという根源的な問題まで改めて考えさせられる良書。おすすめ。
comic

鈴木みそ, ナナのリテラシー (1)

リテラシーというよりはコンサルタント的なお話。おそらく、"銭" の後継作品という位置付け。 1巻目のテーマは出版。構造的に衰退産業となっている出版業、特にマンガの世界のリアルなお金事情を描いてしまうあたりはさすが鈴木みそ。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのかを掴ませないところも見事。
game

思緒雄二, 顔のない村

で発表後、社会思想社版のに収録されたものの、 創土社からされた際には削られてしまった不遇の作品がiOS Appとなっていた。 基本的にはベタ移植で、App化で削れるような指示文もそのまま。BGMやSEもなし。ただし、シナリオは一部書き足され、画像も新たに書き下ろされている。 無料で公開されているものの、一度に進めるパラグラフ数に限りがあり、制限を外すにはApp内での購入が必要。
book

都築響一, だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

書店ガイドと書評を合わせたような本。全編から一貫して本への愛が感じられる。 書評はややサブカルチャー寄りのものや写真集が中心だが、普段それらをあまり読まない自分にも興味を惹かれるものが多い。
product

Kindle Paperwhite (第2世代)

電子書籍は勝ち馬が決まってから買う予定だったが、少し先行してハードウェアを試すために購入。いつでも乗り換えられるように、当面は青空文庫や無償コンテンツ、読み捨てられる本を中心に楽しむ予定。 初めて触った印象は "軽い" 。長時間の読書も苦にならない電子書籍はやはり専用ハードウェアである必要があると感じる電子ペーパーの読みやすさはかなりのもの。特に長時間読んだ後の疲労は液晶と大きな差がある読書中に割り込みが入らないというのは大きな利点。原理的には機内モードにしたスマートフォンで...
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岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。 出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。 (判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
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成毛眞, 面白い本

特に脈絡なく集められた各ジャンルの100冊の書評集だが、"面白い" という点だけは首尾一貫している。 著者が読書を道楽と定義している点が素晴らしい。何かの役に立つような読書ではなく、純粋に読書それ自身を楽しもうという姿勢には共感できる。 肝心の書評も、自分が面白いと思うものだけを取り上げていることもあり、熱が感じられる。ジャンルがノンフィクションとサイエンスにやや偏っているのはご愛嬌か。