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デイジー・ウェイドマン, 幾島幸子(訳), ハーバードからの贈り物

ハーバード・ビジネススクールの学期最後の授業では、伝統的に教授自身の経験に基づいたアドバイスを与えるという風習があるらしい。そんな教授陣のトーク15本をまとめた本なのだが、これがそこらのビジネス本より遙かに面白い。 リーダーシップ教育のエキスパートであるだけでなく、一流のビジネスマンであり、さらに充実したプライベートを持つ教授陣のエピソードからは、いわゆる教科書的なアドバイスではなく、血の通ったメッセージが伝わってくる。おすすめ。
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畑村洋太郎, 失敗学のすすめ

失敗をいかにして生かすかを科学的に実証した本。 畑村先生の研究室では、過去にあった失敗を後輩に伝えるにあたり失敗者の実名を伝えることにしている、というくだりが興味深い。素人考えでは、実名を隠す方が失敗を公開しやすいのではないかと思えてしまうが、以下の3つの理由を読んで納得できた。 聞く者によりリアルで強烈なインパクトを与えることができる興味を覚えた者がより詳しい内容を知りたいとき、失敗者本人に直接聞くことができる実名を出すことで、失敗とは隠すものではないという文化をつくること...
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ASH(ACTION ON SMOKE AND HEALTH), 悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実

タバコ産業が、タバコの害を知りながらそれを隠し、いかに巧妙なマーケティングを行ってきたかを、豊富な資料で語る。タバコの害については既にいろいろなところで喧伝されているので、いまさらとりたてて言うことはないが、それを隠しながら拡販を続けるタバコ産業の商売のやり方を暴いた功績は大きい。 淡々と資料の抜き書きとそれに対するコメントが並べられているだけで特に読みやすくする工夫がされているわけでもないし、翻訳も今ひとつだが、内容の充実ぶりは保証できる。
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北村慶, 外資ファンド 利回り20%超のからくり

ファンドと言っても株式や債権を対象としたいわゆる投資信託ではなく、企業再生ファンド、不動産投資ファンド、ヘッジファンドなどの投資ファンドの話。もはや世の中全てのものが投資対象となっている投資ファンドの世界で、何が儲けの源泉となっているのかがよくわかる。 また、それらの投資ファンドを評価する上で必須となる、IRR (内部収益率) に基づいた利回りの算出なども一通り解説されているので、ほとんど予備知識なしでも読める。このあたりは結構数字が出てくる内容なので、出来れば横組みにして欲...
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小川進, 上田バロン, ドクター・オガワに会いにいこう

ボリュームは軽めの絵本形式で、じっくり読んでも1時間だが、マーケティングの入門書としての内容はしっかり押さえられている。上田バロンのイラストも良い。
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佐藤義典, 図解 実戦マーケティング戦略

ロジックはしっかりしているが、それでいて浮世離れせず、すんなりと頭に落ちてくる。文章や例題も良く練られていて読みやすい。 戦略を数値化することの重要性が繰り返し述べられているが、これには強く同意する。数値化しないことには目標決定も効果の検証もできないのだから。
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エイドリアン・スライウォツキー, 中川治子(訳), ザ・プロフィット

企業が利益を生み出す23のモデルをストーリー仕立てに解説したもの。大企業の戦略企画部門で働くスティーブが、週末に講師のチャオからレッスンを受けるという筋立て。このスティーブに合わせて、毎週少しずつ読み進める方が良いかもしれない。この週末の講義はかなりハードな内容で、毎週のように宿題や必読書 (これは巻末にまとめられている) が出されるので、それを併せて読んだ方が理解が深まるのではと思う。
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池田信夫, 電波利権

かつてNHK中の人だったこともあり、テレビ局の利権構造やNHKの内実などが非常によく描かれている。電波に関する本といえば技術に関するものが大半を占めている中、政治やビジネスの観点からまとめられた本書は評価できる。 技術的な知識なしでも読めるように配慮されているので、この分野の入門書としてもお勧めできる。
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高橋征義, でかいプレゼン 高橋メソッドの本

実は今、正月だというのに比較的真面目なプレゼンの準備をしている。もちろん、高橋メソッドを使ってはマズそうな場面なのだが、この本の隠れ高橋メソッドならば使えそう。要するに高橋メソッドの1ページを普通のプレゼンの箇条書きの一行に対応させるものなのだが、高橋メソッドの推敲のしやすさやストーリーの組み立てやすさは享受できそう。
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川又三智彦, 二極化ニッポン

最近、かなりの数の破綻本が出版されている。しかし、その多くは、あまりに話が飛躍しすぎていたり、煽るだけ煽って特定の金融商品へ誘導しようとしていたり、ただのトンデモ本だったりと、正直読むに耐えない。 そんな中、比較的まともに読めたのが本書。論理の飛躍も少なく (まったくないとは言わない) 、データの裏付けも類似本の中ではかなりまとも。 繰り返される官僚批判がちょっと鼻に付くが (これはツカサのウィークリーマンションの立ち上げ時に許認可が得られなかった恨みも含まれていると思う) ...