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日垣隆, 岡本吏郎, 楽しく稼ぐ本

コンサルタントと作家の経営に関する対談をまとめたもの。所々お話としては面白いところもあるが、話者の体験を一般化して断定的に語っている部分が多いので話半分に。また、全編を通して話者が自身の成功例だけを上から目線で語る調子なので、その種の語り口が嫌いな人は手を出さないほうが良い。
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リチャード・セイラー(著), 篠原勝(訳), セイラー教授の行動経済学入門

特に後半の金融市場のアノマリーを行動経済学の視点から読み解いたコラム群が秀逸。そのまま鞘取りに利用できるような内容ではないが、投資家の感情が市場に与える影響について考える良いきっかけになる。
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町山智浩, アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

キャッチーな表題通りの内容。米国の社会、経済、宗教、政治などの諸問題を面白おかしく。冗談の様に見えつつも嘘でもないエピソードが多いが、ソース不詳のネタも多いので話半分に。気取らない文体で気楽に読めるエッセイ集としては悪くない。
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小田亮, 利他学

人間はなぜ利他的な行動をとるのか。その理由を様々な角度から追った本。著者は自然人類学や比較行動学を専門にしているが、生物科学や心理学、経済学にも造詣が深く、それらの知識を総動員してこの境界領域にある難問に挑んでいる。自身の実験を含む様々な先端研究の成果もよくまとめられており、一冊目のリファレンス本としても優秀。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ

アメリカが抱える問題は数多くあるが、それらをすべて貧困という切り口で扱ったルポタージュ。映画 "SiCKO" で有名となった医療費の問題、国民病とも言える肥満問題、災害による経済難民問題、貧困の連鎖の犠牲者となる若者たち、戦争の民営化の犠牲者となるワーキングプア、すべてが貧困と密接な関係がある。米国に拠点を置く著者らしく、豊富なインタビューも魅力。
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鈴村裕輔, メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?

今風の表題だが、この種の本の例に漏れず内容はもう少し広め。メジャーリーグの歴史的な成り立ちに始まり、いかにして数々の危機を乗り越え拡大し、現在の繁栄を築いたかをまとめたもの。もちろん、単行本一冊では表面をなぞるのが精一杯だが、メジャーリーグがどのような戦略で動いているかを知る一冊目としては十分。
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鈴木貴博, 会社のデスノート トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ?

文章は読みやすいし、コンサルタントらしい説得力もある。ただし、基本的に過去の事例を後出しで分析している本なので、あまり将来予測を期待して読む本ではない。自動車業界については多少の予測があり、現在のところは予測に近い回復基調にあるが、結果が出るのはもう少し先か。価格弾力性や所得弾力性に着目した分析は視点としては面白い。特に、短期と長期で弾力性が異なり、また業種ごとに傾向が違うという点は指摘されて初めて気付くもの。表題はキャッチーではあるが、無理にデスノートと結びつける必然性のあ...
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タイラー・コーエン(著), 高遠 裕子(訳), インセンティブ 自分と世界をうまく動かす

サブタイトルにある "自分と世界をうまく動かす" は少し誇大広告で、実際には行動経済学周辺の小ネタ集。あまり体系立った本ではなく、読み物として楽しむ本。
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青木雄二(原作), 佐藤量(作画), 桃源郷の人々 淀川河川敷のユートピア

青木雄二の後期の小説をマンガ化したもの。他の作品と比べると設定がややマンガ的に過ぎるが、ディティールの書き込みがそれを感じさせない。資本主義社会の否定など、青木雄二の思想が強く出ているのも見逃せないところ。
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ダイアン・コイル(著), 室田泰弘(訳), 矢野裕子(訳), 伊藤恵子(訳), ソウルフルな経済学 格闘する最新経済学が1冊でわかる

「今時の経済学って何をやってるの?」という素朴な疑問に答えてくれる本。あまり読みやすい本でも、読んで面白い本でもないが、経済学というものが浮世離れした数式を扱うだけの学問ではないということはよく伝わってくる。