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橘玲, 不愉快なことには理由がある

週刊プレイボーイの連載 "そ、そうだったのか!? 真実のニッポン" をまとめたもの。今回は経済系のトピックよりも政治や社会のネタが多め。進化心理学や脳科学のあたりはまだ受け売り感が残るが、読み物としては面白い。
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エドアルド・ポーター(著), 月沢李歌子(訳), 「生き方」の値段 なぜあなたは合理的に選択できないのか?

行動経済学の本だが、研究者ではなくジャーナリストがまとめた本ということもあり非常に読みやすい。原題の "The Price of Everything" が示す通り、扱われているテーマは実に幅広い。生命や幸福、信仰など、行動経済学の守備範囲の広さを感じさせてくれる一冊。
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新雅史, 商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道

それなりに歴史があると思っていた商店街の大半が、実は第一次世界大戦後の離農者対策として政治的に作られたものであることは新たな発見であった。そこを出発点とすると、戦後の商店街の発展を経て、オイルショック後に急激に崩壊し圧力集団となっていく流れがすとんと腹落ちする。
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トビアス・J・モスコウィッツ(著), L・ジョン・ワーサイム(著), 望月衛(訳), オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く

行動経済学者の視点からスポーツを読み取ろうというという試み。プロのスポーツ選手も審判員もクラブの幹部たちも皆、行動経済学の言うところの損得勘定に (無意識のうちに) 縛られていることがよく分かる。特に興味深いのは多くの紙幅を割いているホームスタジアムの優位性の原因。今まで良く言われていた通念の数々、観客の声援や遠征の疲れ、本拠地への慣れがほとんど影響していないことを解き明かすくだりは実に痛快。全体としてデータもしっかりしており、読み物としても文句なしに面白い。強いて難を挙げれ...
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池上彰, 知らないと恥をかく世界の大問題

池上彰の著作を読むのは初めて。新書一冊で世界経済から各地の軍事問題、資源争いに年金問題までを扱っているので、当然内容は薄め。2009年の出版ということもあって民主党推しであるが、その点を除けばトンデモ度は低め。
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KAPPA, 東大卒医師が教える科学的「株」投資術

"EBI (Evidence-Based Investment) のすすめ" の管理人として名を上げた (現在は閉鎖され、blogサイトの "豊かで、健康で、活動的な、人生を目指して:春山昇華" に移行している) KAPPA氏の著作。高尚な理論は横に置き、儲かる投資方法とは何かだけを追求する姿勢が心地良い。内容はアクティブ投資寄りで、効率的市場仮説の前提となっている合理的な投資家が現実と乖離していることを検証し、そこで裁定取引を狙うスタイル。タイトルに "科学的" と入ってい...
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ビョルン・ロンボルグ(編), 小林紀子(訳), 五〇〇億ドルでできること

"環境危機をあおってはいけない" で名を上げたビョルン・ロンボルグが主催したCopenhagen Consensusの結果をまとめたもの。これは、500億ドル (最近の会議では少し増額されている) が与えられた際に社会のどの問題に注ぎ込むのが効果的かを議論する会議。取り上げられる問題は、地球温暖化対策、感染症対策、内戦の抑制、教育投資、政治腐敗の解決、飢餓と栄養不良対策、移住問題対策、水問題対策、補助金問題の解決など、いずれも重要性を否定しにくいものばかりだが、専門家の視点で...
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橘玲, (日本人)

橘玲の新刊。表題ともなっている日本人論を出発点に、話は政治哲学にまで及ぶ。本書の日本人論の柱となっているのはWorld Values Surveyの国民性調査やイングルハートの価値調査による各国の価値観比較。それらを通じて極めて利己的で権威や権力を嫌う日本人像を導き出し、過去の日本人達の行動がすべてその日本人像から導かれることを示す。政治哲学に関する章は氏の過去の著作の集大成といったところだが、グローバリズムや正義といった視点からリバタニアリズム、リベラリズム、コミュタニアリ...
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マイケル・サンデル(著), 鬼澤忍(訳), それをお金で買いますか 市場主義の限界

最近日本で売れているサンデル教授による市場主義の批判本。市場主義がなじまない事例や、市場主義により引き起こされた問題点のカタログ的な構成。市場主義の問題点として、単純な好き嫌いの道徳面だけではなく、不平等や社会規範の破壊といった視点で捉えているのが興味深い。前者は、ここ数十年の貧困家庭や中流家庭の生活が悪化している原因を、富の配分だけではなくあらゆるものが商品となってしまったがためにお金の重要性が増したことにあると説く。後者は、市民の公共心の問題を金銭の問題に変質させてしまう...
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飯田泰之, 雨宮処凛, 脱貧困の経済学 日本はまだ変えられる

経済学という表題がついているが、実際は経済談義とでも言うべき対談本。対談本という形式の限界もあるのだろうが、テーマに掲げている貧困の定義自体がやや揺らいでいる。あるときは低所得の人々全般を指しているかの様でもあり、またあるときは労働者の中では少数派の非正規雇用労働者だけを対象としているようにも読める。また、因果関係も不明な箇所が多い。例えば、貧困の原因が小泉政権による構造改革であることが当然の様な口調だが、構造改革はるか前の1980年代から非正規雇用者比率やジニ係数が増加し続...