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苅谷剛彦, 知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ

表題ともなっている複眼思考とは、常識やステレオタイプにとらわれず、自分の頭で考える思考法を指している。思考法というとコンサルタントの掲げる思考法のフレームワークの類を思い浮かべる人も多いだろうが、本書はより根源的な問題の立て方やその展開法を扱っている点で一線を画している。 若い学生を想定読者としているためか、批判的な読書法に始まり、論理の積み重ね方、問題の立て方、ものごとの多面性を捉えるための方法をひとつひとつ手ほどきしていく構成となっており、順を追って読み進めるだけで知的複...
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ジュディス・リッチ・ハリス(著), 石田理恵(訳), 子育ての大誤解〔新版〕 重要なのは親じゃない (上) (下)

入手に苦労していたあの名著がついに文庫化。内容は言わずもがな。とりあえず、保存用として確保した。
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三木義一, 日本の税金 新版

直球のタイトルだが、その看板に偽りなし。 日本の税金がどのような仕組みで成り立っているかが高い視点から解説されており、小手先の節税本などとは一線を画している。即座に役に立つ本ではないが、税の基本を学ぶ教科書としておすすめできる。
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深見填, こどものためのドラッグ大全

子供向けの体ではあるが、基礎知識がない大人が読んでも勉強になる本だと思う。 内容は存外にしっかりしており、トンデモ度は低い。身体依存、精神依存、中毒を正しく使い分けている点や、タバコやアルコールをドラッグとして扱っている点など、誠実さを感じる。
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おおたとしまさ, ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体

副題の通り、鉄緑会とサピックスを中心としたルポタージュ。 両塾の経験者への取材が中心で、塾本体への取材はあまり行っていない印象。他の塾との比較もなおざり。それでも、関東出身ながらまともに塾通いをしたことがない自分には新鮮なところが多い。
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ジュディス・リッチ ハリス(著), 石田理恵(訳), 子育ての大誤解 子どもの性格を決定するものは何か

巷の子育て本には出所不明な情報も多く、どうにも腹落ちがしないので、少し硬めの本書に手を出してみた。既に絶版になっており中古も結構な値段なので、地元図書館で拝借。 "育児のしかたが子どもの性格と将来を決定する" といういわゆる子育て神話や、"出生順位が性格に影響を与える" という出生順神話を徹底的に疑ってエビデンスを求めていくと、実は神話の根拠が極めて心もとないものであることが分かる。 子育て神話が生まれた大きな要因は、育児のしかたと遺伝の混同。愛情豊かな親は愛情豊かな育児を行...
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日経デザイン(編), パッケージデザインの教科書

表題通りパッケージデザインに特化した内容で、かなり工業デザイン寄り。 飲料容器などの重点分野は製造工程の基礎から学べるように工夫されている。色の印象など主観的な部分は統計調査による裏付けを加えているのも良い。
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Gever Tulley(著), Julie Spiegler(著), 金井哲夫(訳), 子どもが体験するべき50の危険なこと

TEDのプレゼンテーションを膨らませて書籍化したもの。このプレゼンテーションが素晴らしいので、まずは本書の前に視聴するのがおすすめ。 企画の勝利と言える本なので、個々の項目自体はそれほど特筆すべきことはない。しかしながら、その背景にある精神には学ぶところが多い。
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), レモンをお金にかえる法

お金のリテラシー絵本。 経済というよりは経営の基礎ではあるが、子供のためのお金のしくみ入門書としてみると良い出来。
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棚園正一, 学校へ行けない僕と9人の先生

不登校の少年であった著者の自伝。 徹底して主観的な視点で、時間とともに変化している記憶も含まれていそうだが、それだけに当事者のリアルを感じる。他人がおそらくは何気なく言った一言が大きな影響を与えているのも切実に感じる。