essay

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内田百けん, 第一阿房列車

なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う の出だしで有名な旅行記。 特に目的のないユルい旅に、内田先生とそのお供であるヒマラヤ山系のトボケた掛け合いと、脱力しながらもクスクスと楽しめる。
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内田百けん, 百鬼園随筆

実は内田百けんの著作を読むのは初めてなのだけれど、なぜ未だに熱狂的なファンがついているかが良く分かった。 こののほほんとした、それでいて嫌味のないキャラクターには確かに惹きつけられるものがある。
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アレックス・カー, 美しき日本の残像

祖谷や京都に住み、美術品を蒐集するヘンなガイジンの随筆集。 現代の日本について厳しい意見が飛ばされるが、これも日本の文化を愛しているからこそだろうと思われる。
comic

葛西りいち, あしめし

漫画家のアシスタントの生活を描いたエッセイコミック。 漫画家生活を描いた作品はよく見るが、アシスタント生活は珍しい気がする。 テンション低めの自虐系マンガで少し好みが分かれそうではあるが、お好きならばぜひ。
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まつもとゆきひろ, まつもとゆきひろ コードの世界 スーパー・プログラマになる14の思考法

まつもとさんらしく話題の中心はRubyなのだけれど、もう少しメタな概念もきちんと説明されているので、他の環境で生活している人にも十分に得るものがあると思う。 雑誌連載のものをまとめた本でもあり、各章が短めで独立しているので、合間に少しずつ読めたのも嬉しいところ。
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ヴァレリー・ラルボー(著), 岩崎力(訳), 罰せられざる悪徳・読書

教養人となるための読書論。 読書との出会いから教養あるエリートとなるまでの典型的なコースが示されているのだが、その中で挙げられている訪れやすい困難や誘惑は実に身につまされる。稀覯本や初版本の収集といった愛書趣味、博識への傾倒、虚栄心を満足させるための批評などの様々な誘惑に捕らえられていないか、自身の読書スタイルを見直すきっかけには良い一冊。おすすめ。
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石塚昭生, 石塚さん、書店営業にきました。

一部で人気だったメルマガ "ちょっくら書店営業" に加筆修正してまとめたもの (といいながら、実際はほとんど別物になってしまっているが) 。 本編は書店に限らない営業一般の話がやや多目。それよりも本当に面白いのは、各章の間に挿入される "書店業界あれこれ" の方。こちらの方は書店業界への問題意識に溢れており、関係者以外の本屋好きにもぜひとも読んでもらいたい内容。
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久住昌之, 野武士のグルメ

久住さんのエッセイ集。 のあとがき代わりに収録されていた "釜石の石割桜" をはじめ、食に関するエッセイが14本。どれも久住さんらしいミミッチイ話ばかりで、この人は一生野武士にはなれないのだろうな、としみじみ感じさせる。
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西原理恵子, この世でいちばん大事な「カネ」の話

あのサイバラが書いた、リアルなおカネの話。 今回はマンガはほとんどなく文章中心で、これが今までのサイバラとは全く違う雰囲気。普段はバカやってる人間が急に神妙な顔で語り出すというか、そんな空気。サイバラの生い立ちを通じて書かれる主に貧乏視点からのおカネの話はマンガと違って笑えないが、そのメッセージはより強く伝わってくる。 ほぼすべての漢字に振り仮名が振ってあるのは、子供にも読んで欲しいという意図か。確かにこの本は子供にも読んで欲しいと思う。
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倉阪鬼一郎, 活字狂想曲

作家である著者の、校正者時代の日々を綴ったエッセイ。 印刷業の世界を垣間見られる面白さに加えて、倉阪氏の社会不適格ぶりがすばらしい。それでいて嫌味があまり感じられないのは、会社になじめない著者にもそれなりの理があるためか。