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ゾルゲ市蔵, 8bit年代記

各所で物議を醸している著者ではあるが、本書は比較的おとなしい部類か。ゲームの話から脱線する部分も多く、どちらかというと青春自伝マンガといった趣。
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グレゴリー・クラーク(著), 久保恵美子(訳), 10万年の世界経済史 (上) (下)

日本語版の表題は "10万年の世界経済史" となっているが、10万年というbig historyよりも、産業革命の背景やその影響が主題。原著の表題の "A Farewell to Alms" の方が著者のメッセージを正しく伝えているように感じる。ダジャレだが。上巻はマルサスの罠による産業革命以前の停滞が中心。世界各国の人口、出生率、死亡率、生活水準、技術水準、実質賃金の豊富な推移データを元に、短期的な所得の増大が常に人口の増大によって打ち消されてきたことを示す。下巻では、なぜ...
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谷口ジロー, 千年の翼、百年の夢

ルーブル美術館を舞台に夢と現の間を飛び回りながら、その歴史の重みを感じさせてくれる。ルーブル美術館という尻込みしてしまうような題材を描き切る谷口ジローの筆致も見事。
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押切蓮介, ピコピコ少年SUPER

無印、TURBOときて、今作はSUPER。ゲームのネタが減ってきているのがやや残念ではあるが、バカ青春マンガとしては申し分ない。
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長谷川亮一, 地図から消えた島々 幻の日本領と南洋探検家たち

過去の地図に掲載されていたものの、現在の地図からは削除されている島々 (その多くはいわゆる疑存島) の物語。疑存島の発生するプロセスが実に興味深い。国家の都合や防諜の都合などによるものはほとんどなく、アホウドリやグアノによる一攫千金を狙う山師達の化かし合いの結果として生まれてしまったものが大半。全体として、淡々と事実を重ねていくスタイルなので、心躍る冒険譚を期待すると少々裏切られるかもしれない。
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ジョン・ブロックマン(著), 高橋健次(訳), 2000年間で最大の発明は何か

2000年のNHKの正月特番で取り上げられて話題になった本を今更ながら。回答者は各界の専門家達。本書中でジョン・C・ドゥボラックが指摘している通り、各自の専門分野に引っ張られた回答が多いように感じる。また、これも本書中でヘンドリック・ハーツバーグが指摘していることだが、2000年間というよりは過去数百年の最近のものに偏っているようにも感じる。これらをきちんと統制できていなかったことはやや残念だが、その欠点を差し引いても読み物としては十分に楽しめる。
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サラ・ウォリス(編著), スヴェトラーナ・パーマー(編著), 亀山郁夫(露語訳), 河野万里子(仏語訳), 関口時正(波語訳), 赤根洋子(独語訳), 田口俊樹(英語訳), 私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった

第二次世界大戦期の各国の若者が綴った日記をまとめたもの。ナチスの侵略の直接的な被害者だけではなく、英国王立空軍に志願した若者、遠く離れた米国でニュースとして第二次世界大戦を知るユダヤ少年など、レニングラードで食糧難に苦しむ一家など、様々な立場の子ども達の日記を通じて、第二次世界大戦を立体的に描いていく。欧州の子ども達が中心だが、日本人も二人含まれている。こちらも、一高のエリート青年と、福島県で家業を手伝う少女と、世の中の見方がまったく異なる二人を取り上げており、戦争の見方が決...
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ブライアン・スウィーテク(著), 野中香方子(訳), 移行化石の発見

進化論への反論としてよく見られる移行化石の不足にフォーカスした作品。現代に至るまでの化石探求事情がよく分かる。移行化石以外の考古学一般の読み物としても非常に質が高い。
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岩村充, 貨幣進化論 「成長なき時代」の通貨システム

寓話を用いて貨幣の成り立ちを説明した後、金本位制からニクソン・ショックを経て現代に至るまでの貨幣の流れを駆け足で。貨幣の歴史を大掴みするには良書。
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今尾恵介, 地図で読む戦争の時代

著者は古地図好きが高じて本職としてしまった方。全編から古地図への愛が感じられる。地図上の不自然な区割りの理由を探る、植民地の地図を読み解く、戦時改描の歴史など、軍事の歴史と密接に絡んでいる地図を眺めるのは実に楽しい。欲を言うならば、全編モノクロなのが残念。色が重要な意味を持つ地図だけでもカラーで収録して欲しかった。