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ロビン・ウィルソン(著), 茂木健一郎(訳), 四色問題

四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けることができる、という四色問題が解かれるまでを追った数学ノンフィクション。 手加減のない内容で片手間に読んでいると理解が難しいので、集中して一気に読む時間を確保することをお勧めする。
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遠藤秀紀, パンダの死体はよみがえる

先日の人体 失敗の進化史が当たりだったので、遠藤氏の過去の著作を読み始めた。 日本の学界に対する不満が少々くどくはあるが、熱い思いはよく伝わってくる。 表題にもなっているパンダの偽の親指の謎は知的好奇心をそそられる内容。相変わらず豊富な図版で素人にもそのエッセンスが十分楽しめる。
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遠藤秀紀, 人体 失敗の進化史

ヒトがその短い歴史の中でどのように無茶な進化を重ねてきたのかを解剖学的観点から。 猿人からホモ・サピエンスまで、わずか4〜500万年で急激に進化した結果、ヒトの身体は多くの問題を抱えている。特に無理矢理に二足歩行となった代償は大きい。たとえば、血液を脳に押し上げるために高い血圧を必要とし、それでも少しの手違いで貧血を起こしてしまう。一方で、下肢の血液を心臓に戻すことも難しく、冷え性やむくみに慢性的に悩まされている。さらに深刻な症状としては、ヒトに際だって多い椎間板ヘルニアや鼠...
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小室直樹, 論理の方法 社会科学のためのモデル

論理 (ロゴス) を使いこなすために必要なモデルの作り方を、多数の例を用いて説明している。そのモデルの例は、マルクスのモデルに始まり、経済学のモデル、ケインズ・モデル、一神教モデル、丸山真男教授の日本政治モデル、平泉澄博士の国史モデルと幅広く、小室先生の博識ぶりにいつもながら圧倒させられる。もちろん、小室先生の軽妙な語り口も健在。おすすめ。
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門倉貴史, 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?

統計数字と言っても、そのほとんどが経済ネタだが面白い。 株価指数や少子高齢化に関する身近な統計に始まって、いい加減な経済効果の推計の批判、景気判断に関する統計のバイアスなど、豊富な内容で楽しめる。
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ジョエル・レヴィ, 柴田譲治(訳), 世界の終焉へのいくつものシナリオ

人類滅亡へ繋がる様々な脅威をとりあげ、それぞれの危険度を評価する。 派手なSF的な滅亡ネタは面白いのだが、可能性の低さを加味すると現実的には環境破壊が一番の脅威。勢い環境に関する話が多くなるのだが、結果として似たような話が多くなり、読み飛ばしたくなった。
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高松正勝, 鈴木みそ, マンガ 化学式に強くなる さようなら、「モル」アレルギー

化学の本当の基礎のところが理解できる本。内容は高校生レベルなので、ちょっと分かっている人には物足りないかもしれない。 マンガにあまり鈴木みそらしい毒は感じない。少しだけラブコメはあるけど。
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と学会, 山本弘, 志水一夫, 皆神龍太郎, トンデモ超常現象99の真相

確か大昔に宝島文庫版で一度読んだはずなのだが、どうしても見つからないので買い直し。 タイトル通り、99個の超常現象の真相をまとめた本。一つの超常現象あたりの文章量はあまり多くないので、細切れ時間に読むのにも最適。 神は沈黙せずの大きな要素でもある超常現象の数々の基礎となった作品として読むとまたおもしろい。
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とつげき東北, 超・入門 科学する麻雀

前著、科学する麻雀を遙かに読みやすく再構成したムック。もちろん、新たな研究成果も追加されており、特に最終章で述べられる強者間の実力差の要因は必読。リーチ率、二副落率、リーチ時または二副時以外の放銃率、の3つのパラメータが大きな要因であるとの結論。ロジカルに麻雀を突き詰めたい向きには間違いなくおすすめできる。 また、前著の科学する麻雀に対する賛否両論がまとめられているが、麻雀プロからのお粗末な批判コメントと的外れな指摘は非常に残念に思う。
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あさりよしとお, まんがサイエンス 10

ついに大台に到達。5年の科学でリアルタイムに読んでいた頃からは20年近くになると思うと感慨深い。 今回は明らかに初期の作画のものが混ざっていたり (初出一覧を見ると1990年頃の作品まで混ざっている) 、過去に扱ったネタの焼き直しのようなものが含まれていたり (望遠鏡ネタ) もするが、クオリティは高い。おすすめ。