sociology

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谷口正次, メタル・ウォーズ 中国が世界の鉱物資源を支配する

ベースメタル、レアメタル、レアアースといった鉱物資源の世界規模での奪い合いを描いた作品。著者は小野田セメント出身で世界各地での鉱山開発の経験を通じて資源戦争 (メタル・ウォーズ) の現状を熟知しているため、日本の資源戦略のお粗末さに対する怒りが強く感じられる。マクロで見た統計的な情報と、自身の経験や現地取材によるミクロな情報の両方がきちんと押さえられており、資源戦争の現状を把握するには最良の一冊。反面、読み物として見ると少々厳しい。前半半分程度を中国の資源囲い込みの実例が占め...
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斎藤充功, ルポ 出所者の現実

最近では刑務所内の生活などは知られることも多くなったが、出所者のその後の生活に関する情報はまだまだ少ない。新書の制限による限界はあるものの、刑務所の基礎知識や出所者に関する統計的な調査はもちろんのこと、出所者へのインタビューや近年の出所者への支援活動も広く押さえられている。出所者の自立更生と再犯防止を考えるきっかけの一冊としておすすめできる。
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葉山宏孝, AD (アシスタントディレクター) 残酷物語 テレビ業界で見た悪夢

著者は制作会社でのAD経験者。今でこそネットを通じてADの待遇が知られることも増えたが、活字メディアでの内情暴露はまだまだ貴重。著者はルポタージュのつもりで書いているようだが、それにしては踏み込みが浅い。一人の体験談として読むのならば実に興味深い内容。
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長谷川英祐, 働かないアリに意義がある

アリやハチのコロニーに働かない個体がいる理由や働かない個体を決める仕組を、反応閾値モデルに沿って解説。後半には、利他行動をとる理由を説明する血縁選択説や群選択説、社会寄生が行われている事例の紹介なども。一般読者向けの啓蒙書の体裁ではあるが、専門家の間でも議論が割れている事柄やよくわからない分野を煙に巻くことなく、科学者としての真摯な姿勢で事実をきちんと説明しているのが素晴らしい。
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九鬼太郎, “超” 格差社会・韓国

韓国の現状について、教育熱と受験戦争、財閥支配の企業の実情といった切り口から。著者は在韓の企業家のため全体的に韓国贔屓を感じるが許容範囲。韓国の圧縮成長を可能とした背景や、その無理が生んだ歪みが実感として伝わってくる。
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笠虎崇, サラ金全滅 過払い金バブル狂乱

2010年6月の貸金業法改正にまつわるドキュメンタリー。状況証拠を積み重ねているだけに過ぎないが、過払い金返還請求やグレーゾーン金利撤廃といった一連の施策が、増えすぎた弁護士や経営の苦しい銀行を救済するためのものであるという指摘はおそらく正しいのだろう。アイフル出身の著者の考えるサラ金のあるべき姿は、やや懐古主義的に感じられるものの、一聴の価値がある。対面審査、対面融資、対面返済を条件に高金利を認めることで、多重債務者へのカウンセリング機能を持たせるという考え方は興味深い。
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湯浅誠, 日向咲嗣, 吉田猫次郎, 春日部蒼, 李尚昭, しんぐるまざあず・ふぉーらむ, 働けません。「働けません。」6つの “奥の手”

追い込まれて生活に困窮した際の対処方法をまとめた本。生活保護の受け方、失業保険の貰い方、住宅ローンの処理方法、法律補助の受け方、生活福祉資金の借り方など、いずれも教科書的な知識ではなく極めて実践的な内容。いざという時もいくらでも対処方針があると知っておくことは精神衛生上、非常に良い。この種の方法は広まるにつれ対策が打たれるものも多そうだが、考え方の肝となる部分は古くならない。
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松尾貴史, ネタになる「統計データ」

松尾貴史の本なので、統計リテラシー系に斬り込む本かと思えばさにあらず。元が夕刊紙の連載で紙幅が限られていることもあり、統計調査1本に軽くツッコミを入れて小ネタを披露するのが精一杯。読み物としては上々。
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船山信次, 〈麻薬〉のすべて

あまりアングラでもなく堅過ぎる専門書でもない麻薬の解説本は貴重。基礎の部分からきちんと解説されているので、予備知識無しでも読み進められる。最近は一部で大麻容認の動きなどもあり、自身の考えも何となく容認に傾いていたが、事はそれほど単純ではないことがよく分かる。
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ポール・ディクソン(著), 水戸重之(監訳), メジャーリーグの書かれざるルール

メジャーリーグを語るときによくしたり顔で語られるunwritten rulesをまとめた本。あまり体系的にまとめた本が無い分野なので貴重。後半は "野球に関する格言・教訓" でやや水増し気味なのが残念。