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間羊太郎, ミステリ百科事典

寝る前に少しずつ読んでいたら半年近くかかってしまった (他の本に浮気もしていたが) 。 ミステリでよく見られるトリックやモチーフを網羅した、まさに百科事典の名にふさわしい作品。700ページ超のボリュームはダテではなく、名作ミステリはもちろん映画や落語のネタまで取り上げられており、著者の博識がうかがえる。 巻末には妖怪学入門も収録され (これだけで別冊にできるほどのボリュームがある) 、読み応えも充分。
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大川豊, 日本インディーズ候補列伝(DVD付)

しばらく追いかけていないうちに、大川総裁はこんなことをしていた。 外山恒一や又吉イエスといったネット上のメジャーどころとはちょっと違う路線。山口節生、羽柴誠三秀吉らを中心に、全国の候補者の演説を巡り取材を敢行した労作。付録のDVDも厳選された貴重な映像ばかり。おすすめ。
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岩田正美, 現代の貧困 ワーキングプア/ホームレス/生活保護

社会福祉学の入門書的な内容。貧困の境界を定めることの難しさに始まり、欧米生まれの "社会的排除" の概念や日本の貧困の実体まで一通り学べる。 特に興味深いのは、実際の統計データから見られる平均的な貧困者像と、マスメディアでよく見られるタイプの貧困者との差。やはり後者は様々なバイアスがかかるのだろう。
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サルマルヒデキ, 東京鉄塔 ALL ALONG THE ELECTRICTOWER

毎日送電線を書籍化したもの。何というか "わかっている" 人の本なので、鉄塔ファンには間違いなくお勧めできる。 写真もツボを押さえており、にこにこ角度を中心に結界中から見上げるアングルまで、鉄塔の魅力を完璧に引き出している。銀林先生をはじめとする先駆者へのリスペクトが感じられるのも好印象。
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安田均, ゲームを斬る!

最近のアナログゲームに対するエッセイ・評論集。 1990年代から注目を集めているドイツ製のボードゲーム、同じく1990年代に生まれた怪物TCG、そして連綿と続くRPGまで。幅広い知識を誇る著者ならではの的確な批評が見事。 アナログゲームが欲しいけどどれを買ったらいいのか、という人にもお勧めできる。
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スタジオダンク, 野球でメシが食えるか? 野球のお仕事大紹介

サッカーでメシが食えるか?の野球版。 プロ選手やマスコミ関係者の待遇はサッカーよりも恵まれているのは確か。しかしながら、その他の職種は野球でもサッカーでもあまり差がない様に感じる (サッカー版に比べて年収非公開の職業が多いので単純な比較はしにくいが) 。 全体として広い職種に取材しているように見えるが、プロ野球関係の取材が特定の球団 (マリーンズとホークス) に偏っているのが少し残念。
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島本和彦, ワンダービット(2)

1巻に比べるとちょっとパワーダウンしているか。 とはいえ、中にはキラリと光る良作があるのも確か。「ポットちゃん」に続く童話シリーズ (?) の「みっつの友情」や、島本全開の「怪奇カメムシ男」あたりはお勧めできる。
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E.F.シューマッハー, 小島慶三(訳), 酒井懋(訳), スモール イズ ビューティフル 人間中心の経済学

1973年に出版された本だが、今読むとまるで予言書のよう。工業資源、特に石油についての指摘は今の時代にもそのまま当てはまる。 さらに、「組織と所有権」と題して論じられる大規模組織や公共機関のあり方なども学ぶことが多い。 文庫なのに1,200円もするのはアレだが、内容は間違いなくお勧めできる。
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ブルボン小林, ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ

PS WORLDのハイパーコラムステーションに連載していた "俺が本当のゲーム脳" や、CONTINUE連載の表題作などをまとめたもの。飛び飛びで読んでいたので、まとめて読み返せるのはうれしい。 世代が近いせいか、非常に共感できる内容。また、作家の視点から見たゲーム論、特に時折見せる物語性への厳しい評価がすばらしい。
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鯨統一郎, 邪馬台国はどこですか?

帯には歴史ミステリ連作集という煽りが書かれているが、何というか歴史漫談というか。 肝心の歴史ネタの面白さは保証付き。特に表題作はお勧めできる。私はあまり歴史に明るくないので、どこからがトンデモなのかはわからないが、読み物として十分に楽しめる。