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日経コンピュータ(編), 開発・改良の切り札 システム内製を極める

システム内製の事例集。内製開発を考えている企業の人間なら読む価値はあるかと思うが、成功事例ばかりで失敗事例がほとんどない点には注意が必要。
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奥野幹也, 理論から学ぶデータベース実践入門 リレーショナルモデルによる効率的なSQL

著者は漢のコンピュータ道の中の人。 世の中に数あるSQLの小手先の技術を解説しただけのデータベース本と異なり、リレーショナルモデルの本質の部分を攻めているのが見事。一見遠回りのように見えるが、これが本当の近道という気がする。
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トーマス・トウェイツ(著), 村井理子(訳), ゼロからトースターを作ってみた

この "ゼロから" は、自然の中にある材料から、という意味。鉄鉱石を精錬し、マイカ (雲母) を引き剥がし、銅を電解精錬し、とバカバカしくも見事な企画。何気なく使っている安価な家電製品が世界中の様々な工業的プロセスに依存していることに気付かせてくれる。 著者はRoyal College of Artの学生で、卒業制作としてこのプロジェクトに取り組んだとのこと。学生故の準備不足や無計画さが目に付き、所々やむなく初心を曲げてしまっている個所もあるが、そういった細かい点を吹き飛ばす...
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ウイリアム・ブロード(著), ニコラス・ウェイド(著), 牧野賢治(訳), 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

STAP細胞の騒動を受けて緊急出版されたという触れ込みだが、話題に合わせて急遽でっち上げた様ないい加減な本ではない。原本は1982年の出版で、過去に邦訳も出ていた本を新装したもの。 捏造問題は決して科学者個人の資質によるものではなく、構造的に不可避な問題であることがよく分かる。出世主義、盲信、師弟関係の圧力などの多くの要因から逃れるのは決して容易なことではない。事実、歴史的な科学者達の論文にも捏造の跡が多数発見されているのだ。
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山内志朗, ぎりぎり合格への論文マニュアル

普段読む論文の書き方マニュアルは理工系のものが多いが、これは人文学系の教授によるもの。とはいえ、論文の書き方の本質である主題や題材の定め方などは分野により異なるものでもないので、十分に参考になる。 自ら偏執者を名乗る通り、細かな記号の使い方や体裁の整え方の記述も豊富。ただし、こちらは理工系の論文誌の作法とは少々異なる点もあるので、参照の際はご注意を。
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ジョン・ブロックマン(著), 高橋健次(訳), 2000年間で最大の発明は何か

2000年のNHKの正月特番で取り上げられて話題になった本を今更ながら。 回答者は各界の専門家達。本書中でジョン・C・ドゥボラックが指摘している通り、各自の専門分野に引っ張られた回答が多いように感じる。また、これも本書中でヘンドリック・ハーツバーグが指摘していることだが、2000年間というよりは過去数百年の最近のものに偏っているようにも感じる。これらをきちんと統制できていなかったことはやや残念だが、その欠点を差し引いても読み物としては十分に楽しめる。
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ボールのひみつ 野球、バレー、サッカー、バスケ、テニスetc.様々なボールの歴史や秘密

様々なスポーツのボールに焦点を当てたビジュアル本。写真中心でムックのような味わい。 断面図や製造工程の写真など、眺めているだけでも楽しい。各ボールの歴史的な変遷も押さえられているので、経験者は以前使用していたボールに懐かしさを覚えるかもしれない。
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吉川昌澄, エンジニアのためのExcel再入門講座

比較的硬派なExcel解説本。 RDB的なスキーマを意識しながらシートを作ろうという考えには共感できるが、ある程度RDBを理解している人にとっては目新しい情報は少なく、RDBを知らない人にとっては敷居が高い様に感じる。
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Wes McKinney(著), 小林儀匡(訳), 鈴木宏尚(訳), 瀬戸山雅人(訳), 滝口開資(訳), 野上大介(訳), Pythonによるデータ分析入門 NumPy、pandasを使ったデータ処理

普段の生活はRubyが多いのだが、科学技術計算が大目の仕事をすることとなったのでPython + pandasの勉強。 想定読者はある程度Pythonが書ける人で、Python自体が初めてという人には向かない。 pandasやその基礎となっているNumPy、さらには可視化に必要なmatplotlibまで幅広く学べる。実例も豊富でさすがのオライリークオリティ。
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武田知弘, ナチスの発明

表題通りのナチスの発明はごく一部で、大半はナチス時代のドイツに少しでも関係ある発明や製品、研究をこじつけたもの。それでも分量が足りなかったのか、後半はナチスの成り立ちや人物紹介で水増しされている。 巻末に参考文献一覧はあるものの、すべて和書で二次資料が中心の上に各項目がどこから引用したものかがまったく示されていないので、話半分で読むのが良いだろう。コンラート・ツーゼが計算機における二進法利用を最初に発案したとするなど、明らかな誤りも見られる。