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鍛冶俊樹, 戦争の常識

軍事の本当の基礎の所を扱った入門書。 広く浅くの内容だが、必要な箇所はきちんと押さえており、記述も真っ当。
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飯田進, 地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相

太平洋戦争中にニューギニア戦線に携わった著者により語られるその実態。当時の日本軍の南方での兵站が破綻していた様子がリアルに伝わってくる。 著者の実体験に各種記録や手記の調査を加え、ニューギニア戦線各所の凄惨な事実がまとめられている。専門の学者ではないこともあり資料を素直にまとめただけだが、やはり当事者の言葉となると重みがある。
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奥野修司, ナツコ 沖縄密貿易の女王

戦後混乱期の沖縄における密貿易時代を追ったドキュメンタリー。 ほとんど文書としての記録が残っていない中、数少ない存命の関係者への取材でここまで調べ上げたのは素直に脱帽。タイトルにもなっている、密貿易の中心人物の一人であった金城夏子という人物が生き生きと伝わってくる。
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横山宏章, 中国の異民族支配

中国はチベット問題をはじめとする様々な異民族問題を抱えているが、その根底にある思想を追う。 中国の歴史を追っていくことで、優れた文明を持つ中華と野蛮な夷狄を峻別する "華夷之辨" と、異民族を含む "大一統" の二つの一見相反する思想が複雑に絡み合いながら現代の異民族支配に至っていることがよく分かる。
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竿尾悟, コンビニDMZ (1) (2)

そのタイトル通り、DMZ (DeMilitarized Zone) にあるコンビニを舞台にしたコミック。 まあ、言ってしまえば馬鹿マンガなのだけれど、軍事ネタが無駄に質が高くツボに入る。
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森川方達, 帝国ニッポン標語集 戦時国策スローガン・全記録

戦時中のスローガン4237句をまとめただけの本なのだが、下手な歴史書よりも、その時代のムードがよく伝わってくる。
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中村秀樹, これが潜水艦だ 海上自衛隊の最強兵器の本質と現実

さすが元海自の潜水艦長が書いただけあり、潜水艦の存在意義からその実体まで良く押さえられている。 所々、身贔屓が過ぎる所や自衛隊批判が鼻につくが、これも愛の鞭だろう。潜水艦の入門書としては間違いなくおすすめできる。
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奥野修司, 沖縄幻想

癒しの島、長寿社会といったイメージを持たれることの多い沖縄。そのイメージの裏にある実体は、3K産業 (観光、公共事業、基地) だよりの経済だった。 そういった実体を受け止めた上で、沖縄をどう開発して行くべきかの論は、沖縄に対する愛が感じられて実に興味深い。 なお、本書には同じ著者によるに関する記述が所々に出てくるので、併せて読んでみた方が良いかもしれない。
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こうの史代, この世界の片隅に (上, 中, 下)

太平洋戦争期の広島・呉を舞台にした一人の女性の物語。 この時期のこの場所を描く以上、どうしても鬱展開を避けられないわけだが、そんな中にも生活の温かさが感じられるのはさすがこうのさん。
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業田良家, 独裁君

表紙を見れば一目瞭然、あの方をモデルにしたギャグ四コマ。 風刺もきいていてなかなか面白いのだけれど、中に数本、ギャグなしで独裁国家を描いた作品が挿入されているのが強烈。ギャグマンガのつもりで読んでいたら不意をつかれてエラい目にあった。