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松島悠佐, 戦争の教科書

"戦争の" 教科書というよりも、"日本の安全保障の" 教科書といった色が濃い。 なぜ戦争が起きるのかというメカニズムに始まり、戦争が起きうる可能性を踏まえた上で日本がどのように備えるべきかまでが良くまとまっている。筆者独自の新規性はあまり見られないものの、戦争の本質や自衛隊のあり方を考えるための入門書としてはおすすめできる。
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上田愛彦 (編著), 杉山徹宗(編著), 防衛ってなに 君は知ってるかな? 自衛隊と日本の防衛

軍事、特に自衛隊に関するFAQ集で、真っ当な内容。 本当に初歩的なところからの解説なので、軍事のことが全くわからない人が一冊目に読むのにも良いと思う。
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高森直史, 海軍食グルメ物語 帝国海軍料理アラカルト

自衛隊の元経理補給幹部の方の著作。 レシピとして使えるかは微妙だが、読み物としてはなかなか。大半が文献調査に基づく内容だが、所々筆者が自衛官時代に海軍出身の諸先輩から伺ったエピソードなども。
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鯖田豊之, 金 (ゴールド) が語る20世紀 金本位制が揺らいでも

20世紀の日本と世界の歩みを金本位制という視点から切り取った歴史書。歴史の教科書的な記述が続き気軽に読みにくい箇所もあるものの、金重量換算した外貨準備高を通じて国力の変動をマクロ的に眺めるという試みは非常に新鮮であり、それらは各国の継戦能力を反映しているという意味から軍事面でも興味深い。 特にその軍事面に注目すると、太平洋戦争緒戦の日本の戦果が米国への膨大の金現送と軍需物資の買付に依存していたことは他の歴史書ではあまり触れられることのない事実かと思う。また、日清・日露戦争の間...
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松本仁一, カラシニコフ (I) (II)

少しでも軍事や国際動向に興味のある人なら一度は耳にしたことがある自動小銃、カラシニコフ AK-47。そのカラシニコフがどこでどのように使われているのかを通して、世界の紛争を追っている。 カラシニコフはまさに世界中至る所で使用されており、アフリカ、南米、イラク、アフガニスタンなど、紛争のある場所には必ずカラシニコフの影があると言っても過言ではない。 それらの各地域で、自衛のためにカラシニコフを持たざるを得ない状況を眺めると、日本に住んでいるとあまり気にすることのない国家のあり方...
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保阪正康, 大本営発表という権力

都合の良いことのみを公式に発表し、都合の悪いことは隠してしまう。今ではそんな意味で使われている "大本営発表" にスポットを当てる。 45ヶ月間に行われた全846回の大本営発表をつぶさに追いかけることで、当時の軍事指導層の思考が浮かび上がってくる。さらに当時の知識人たちの残した記録を併せて見ることで、その時代の空気までもが浮かび上がってくる。 言論統制を行うことの危うさや、また国民の側から見た知る権利の重要さを知る上でも貴重な一冊。
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竹内正浩, 戦争遺産探訪 日本編

先の大戦中の軍事施設を巡る旅。あまり政治的な主張は強くなく、遺構そのものを楽しむスタイル。 遺構は全国に散らばっているが、関東周辺でも都心部や千葉・館山などに見るべきものがある様なのでぜひ訪れてみたい。 また、ただの遺構紹介にとどまらず、それらを探すコツについても触れられているのが嬉しい。それなりに歴史のある土地に住んでいる人間ならば、きっと地元の遺構を探したくなる。
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防衛弘済会, 知っておきたい!! 自衛隊100科 セキュリタリアンMOOK

自衛隊に関する100項目をまとめたムック。各項目は独立しているので、パラパラとめくっているだけで自衛隊の知識が身に付く。 セキュリタリアン誌の別冊だけあって、内容はかなり正確。今まであまり軍事関係の本を読んでいない人の入門用にもおすすめできる。
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鄭大均, 在日・強制連行の神話

いわゆる強制連行の実像に迫る本。 本書で取り上げられる多くの文献や証言は、在日一世の多くがチャンスを求めてもしくは教育を受けに自らの意志で日本に渡ってきたことを示している。また、強制連行の神話がどのように広がってきたかについてもきちんと踏み込んでいるのが素晴らしい。
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杉山隆男, 兵士を追え

陸空に続く新作のテーマは海。それも最高機密の塊である潜水艦。 潜水艦の内部はもちろん、それを取り巻く哨戒機への同乗取材まで行われている。このシリーズらしく充分なボリュームで、前作同様に自衛隊員たちの生の声が多く取り上げられているのが興味深い。