book エドアルド・ポーター(著), 月沢李歌子(訳), 「生き方」の値段 なぜあなたは合理的に選択できないのか? 行動経済学の本だが、研究者ではなくジャーナリストがまとめた本ということもあり非常に読みやすい。原題の "The Price of Everything" が示す通り、扱われているテーマは実に幅広い。生命や幸福、信仰など、行動経済学の守備範囲の広さを感じさせてくれる一冊。 2012-11-12 book
book ジム・クレイマー(著), 井手正介(訳), 吉川絵美(訳), 全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦 アクティブ投資寄りの株式投資本。テクニカルではなくファンダメンタルズ系。従来型の "Buy and Hold" ではなく、"Buy and Homework" により、適切な売り時を見抜こうという考え。この考えからも分かる通り、短期の投機的売買に肯定的であり、効率的市場仮説にはやや否定的。感情的には納得してしまいそうになる部分も多いが、定量的な分析が示されないのが致命的。著者の主観的な判断基準も多いため、自分で裏を取るのも難しい。内容とは関係ないが、原題の "Jim Cram... 2012-11-10 book
book マネー・ヘッタ・チャン, マッチポンプ売りの少女 童話が教える本当に怖いお金のこと ヘッテルとフエーテルの続編的内容。今回もどこかで聞いたような話が多く、あまり新味はない。前作ほど無理に童話仕立てにする必要も無いように感じる (マーケティング的には必要なのだろうけど) 。前作と変わらずさらりと読めてしまう点は良い。 2012-09-28 book
book KAPPA, 東大卒医師が教える科学的「株」投資術 "EBI (Evidence-Based Investment) のすすめ" の管理人として名を上げた (現在は閉鎖され、blogサイトの "豊かで、健康で、活動的な、人生を目指して:春山昇華" に移行している) KAPPA氏の著作。高尚な理論は横に置き、儲かる投資方法とは何かだけを追求する姿勢が心地良い。内容はアクティブ投資寄りで、効率的市場仮説の前提となっている合理的な投資家が現実と乖離していることを検証し、そこで裁定取引を狙うスタイル。タイトルに "科学的" と入ってい... 2012-09-23 book
book わかりやすい 投資信託ガイド 2012年度版 社団法人投資信託協会の発行しているわかりやすい 投資信託ガイド 2012年度版を読んでみたが、これが意外に良い出来。投資信託の基礎がしっかりまとまっているのに加え、(会員の大半が運用会社であるにも関わらず) 比較的中立な内容なのが嬉しい所。記事か広告かわからないようなマネー雑誌を読むくらいならば、このガイドを読んだほうがよほどためになるように思う。しかもこちらは無料で送ってもらえる。また、姉妹品のREITガイドも同様に良い出来なので、併せて読みたいところ。 2012-08-25 book
book 曽野綾子, 貧困の光景 海外邦人宣教者活動援助後援会 (JOMAS) を通じて アフリカへの支援活動を行なっている曽野氏が描くアフリカの貧困の現実。今でこそアフリカの貧困問題は支援の不足と言うよりも政治体制の問題が大きいことが知られるようになってきたが (本書の多くを占めているのも、支援をいかに末端まで届けるかという苦労である) 、現場へ目を向けてみるとその実態はさらに複雑な問題が山積みであることがわかる。日本人とは根本的に異なる考え方をする人々、機能していない社会インフラ、公金の私物化の因習、根強... 2012-08-23 book
book ビョルン・ロンボルグ(編), 小林紀子(訳), 五〇〇億ドルでできること "環境危機をあおってはいけない" で名を上げたビョルン・ロンボルグが主催したCopenhagen Consensusの結果をまとめたもの。これは、500億ドル (最近の会議では少し増額されている) が与えられた際に社会のどの問題に注ぎ込むのが効果的かを議論する会議。取り上げられる問題は、地球温暖化対策、感染症対策、内戦の抑制、教育投資、政治腐敗の解決、飢餓と栄養不良対策、移住問題対策、水問題対策、補助金問題の解決など、いずれも重要性を否定しにくいものばかりだが、専門家の視点で... 2012-08-16 book
book 清涼院流水(著), 西島大介(イラスト), 成功学キャラ教授 4000万円トクする話 なぜ小説家がビジネス成功本を、と思ったが、あとがきによると数百冊の成功本を愛読する趣味が高じて著作に至ったらしい。過去の成功本に共通するエッセンスを抽出して小説仕立てに直した様な内容で、どこかで聞いたことがあるような、それでいて実践できそうでできない成功法則が続く。成功法則として目新しいものはないのだが、それでも一気に読ませてしまう構成はさすが。 2012-08-15 book
book 神戸孝, 勝つ投資信託 良いファンド悪いファンドの見分け方 シャープレシオによる投資信託選定を進める本。当然ながら、アクティブ型の投資信託寄り。本書の一番の問題点は、シャープレシオによる選定を推奨しているにも関わらず、肝心の過去のシャープレシオと未来の利回りの相関を一切検証していないこと。また、各種の投信の比較を行う際に生存者効果によるバイアスを排除していない様に見える点も気になる。 2012-08-09 book
book 岩崎日出俊, マネー大激震 逆境下の資産運用術 第2章までの資産運用の基礎的な部分は比較的真っ当な内容。内容とはあまり関係がない大震災をテーマに掲げているのが気になるが、これは販売戦略上仕方ないだろう。いくつかの個別銘柄や新興国への投資を薦めているがこれは疑問。根拠が簡単な定性的な分析しか示されていないのに加えて、それらの情報がまだ株価に織り込まれていないことを暗黙の前提としている。 2012-07-03 book