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ケン・ブレイ(著), 近藤隆文(訳), ビューティフル・ゲーム 世界レベルのサッカーを科学する

ワールドカップ前に読もうと思っていた本だが、ようやく読了。 戦術 (システム) の変遷から、フリーキックの解析まで、サッカーに関する事柄を科学的に解明する。 戦術の変遷などはある程度サッカーの歴史を知らないと理解しにくい部分もあるが、その他は数値や図表も豊富で存分に楽しめる。おすすめ。
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ドゥニ・ゲージ(著), 南条郁子(翻訳), 藤原正彦(監修), 数の歴史

読み終わるまで気付かなかったが、監修は最近話題の藤原正彦。 数が生まれてから近代数学に至るまでの流れを俯瞰できる。特に、数の記録と計算の間のギャップが埋まるまでのくだりは実に興味深い。 また、図版の美しさは特筆もの。これを眺めているだけでも幸せな気分になれる。お勧め。
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安富和男, 虫たちの生き残り戦略

何かの役に立つわけではないけど、純粋に読んで楽しい虫たちの雑学本。一般人の興味を引きそうな話をきちんと絞り込んでいるのが良い。
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藤原明, 日本の偽書

上記、竹内文献、東日流外三郡誌、秀真伝といった有名な偽書がどの様なプロセスで人々を魅了するに至ったのか。と学会の様におもしろおかしく紹介するわけでもなく、また少数の有名偽書を深く掘り下げる形式なので、正直言って骨太すぎるところもある。 しかしながら、捏造が行われるプロセスとして "言説のキャッチボール" を重視しているのは興味深い。これは、捏造者が他の専門家 (捏造に携わっている自覚なし) との対話で得られた情報を取り込み、出土品を "創造" するということ。類例としては、(...
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藤原和博, 小川洋子, 世にも美しい数学入門

最近は工学的な仕事ばかりで数学からは離れてしまっている、そんな私に数学の美しさというものを思い出させてくれた。 対話形式でサクサク読める上、特に数学の前提知識なしでも楽しめるのでお勧め。
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ドネラ・H・メドウズ, デニス・L・メドウズ, 地球のなおし方

装丁をみると軽めのエコ本のようだが、中身は硬派。 環境汚染、資源の枯渇といった環境問題をそれぞれ単独でみるのではなく、全体をシステムとして捉えている。個々の問題にとらわれすぎることなく全体として何をするべきかを考えているのは実に興味深い。 また、地球のモデル化とコンピュータシミュレーション (明記されていないが、おそらくJay ForresterのWorld Dynamicsのモデルによるものと思われる) を行っているのも興味深い。技術や市場の力だけでは破綻を回避することがで...
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J. アルバート, J. ベネット, メジャーリーグの数理科学 (上巻・下巻)

野球の記録ヲタクを自認するのならば必ず読むべき本。野球の統計データに関する多くのトピックを扱っており、十分な読み応えがある。 特に力説されているのが、観測された確率 (記録に残っている打率や勝率) と、真の確率 (実際にヒットを打つ確率や勝利する確率) の差を明確に区別することの重要性。今までの野球解説はほぼ例外なく観測された結果のみに基づいて議論しているが、実際にはその結果には乱数による揺らぎが大きく影響していると考えるべきであり、試行回数が少ない場合はなおさらである。統計...
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村上宣寛, 「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

まずは、定番の血液型人間学批判とバーナム効果のお話から。この辺はあまり新しいことではないが、わざわざこれを載せているのは、多くの心理テストが血液型人間学と同じレベルだということを示していると思われる。 その槍玉に挙げられる心理テストは、ロールシャッハテスト、YG (矢田部ギルフォード性格検査) 、内田クレペリン検査といった定評あるもの。 YGは、自分も就職活動中に受けたことがあり、その批判は特に興味深い。YGについてはデータの捏造、根拠のない分類、再標準化を行わない質問項目の...
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ジョン・アレン・パウロス(著), 望月衛, 林康史(訳), 天才数学者、株にハマる

著者は数学者だが、数学のみならず投資家の心理をも踏まえて市場の様々な問題を解き明かす。中でも、著者自らがずるずるとワールドコム株に入れ込んでしまった過程などは、多少なりとも株式投資をしたことのある人ならば共感できるもの。 なお、具体的な株式投資の方法については全く触れられていないので、そういった手っ取り早い方法を求める向きにはお勧めできない。
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スティーヴン・ウェッブ(著), 松浦俊輔(翻訳), 広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由

なぜいまだに宇宙人が見つからないのか? 実際ここに地球人がいるのだから、他に宇宙人がいてもいいはずなのに、という古典的な問題に対する仮説を大真面目にまとめた本です。 50の仮説は、実は来ている存在するがまだ連絡がない存在しないに大きく分類されます。1番はちょっとトンデモな風味ですが読みものとしてはおもしろく、2番と3番は現実的な回答、といったところでしょうか。全体的に、宇宙科学一般やSFについてがっちりした知識がないとかなりツラい本ですが、そこを越えられる方には絶対のお勧めで...