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ポール・ディクソン(著), 水戸重之(監訳), メジャーリーグの書かれざるルール

メジャーリーグを語るときによくしたり顔で語られるunwritten rulesをまとめた本。あまり体系的にまとめた本が無い分野なので貴重。 後半は "野球に関する格言・教訓" でやや水増し気味なのが残念。
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千葉ロッテマリーンズ変革の300日 プロ野球を変えたキーマンの証言

今シーズンは藤岡貴裕の獲得以外に明るいニュースが無かったので、過去の栄光に浸ってみる。 2006年の春に出版された御祝儀本のため、第2次ボビー政権2年目の一番良いところだけを扱っている。基本的に良いことしか書かれていないので、瀬戸山代表までまるで善人のように見えてくる。 本当は2006年シーズン後の凋落の原因の方が面白そうではあるが、さすがに出版してくれるところはなさそうか。
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鈴村裕輔, メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?

今風の表題だが、この種の本の例に漏れず内容はもう少し広め。 メジャーリーグの歴史的な成り立ちに始まり、いかにして数々の危機を乗り越え拡大し、現在の繁栄を築いたかをまとめたもの。もちろん、単行本一冊では表面をなぞるのが精一杯だが、メジャーリーグがどのような戦略で動いているかを知る一冊目としては十分。
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中村計, 甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実

松井秀喜の5打席連続敬遠を扱ったドキュメンタリー。 松井本人を含む多くの関係者へのインタビューを敢行した労作。あまり白黒を付けようというものではなく、インタビューが中心。当事者だけではなく、もう一歩進んで高野連あたりまで踏み込んで欲しかった。
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鳥越規央, 9回裏無死1塁でバントはするな

セイバーメトリクス本だが、あまり新味がないのに加えて、首を傾げたくなる項目が多い。 第2章2 "2ストライク・ノーボールで本当に1球外すべきか" では、2ストライクからのボール球に対して打者は必ず正確に見逃すことを暗黙の内に仮定しているが、釣り球に引っかかることを考慮しないのは雑過ぎる第2章3 "敬遠して次のバッターと勝負は良い作戦といえるか" では、得点期待値の算出方法が不明。値からは、リンゼイ・パルマーモデルを組み合わせてイニングの総得点期待値を算出するのではなく、単に対...
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落合福嗣, フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!

コアな野球ファンなら知らない人はいない落合監督のご子息、福嗣君の処女作。 週刊プレイボーイに連載されていたコラム "落合福嗣の腹式呼吸" をまとめたものに加え、落合博満監督や信子夫人との対談や過去のエピソードも山盛り。ファンならぜひ。
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クリケットワールドカップで、初めてクリケットを観た

お世話になっているインド人の教授から "most important event of the decade" というメールが来て何事かと思ったら、今夜はクリケットワールドカップ準決勝のインドvsパキスタン戦だから家でパブリックビューイングするぞ、とのこと。今まで仕事関係でこんなに熱いメールをもらったことがない。 クリケットは観たこと無いけどせっかくだから一緒に観てみるか、と思ってメールをよく見ると、こちらの時間で深夜02:00から翌朝10:00の開催 (現地時間では14:3...
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クレイグ・R・ライト(著), トム・ハウス(著), 薙野正明(訳), ベースボール革命 21世紀への野球理論

はまだセイバーメトリクスが普及する前の1989年の発行だが、今読んでも新鮮な内容が多い。 CERA (捕手防御率) 、エラー記録の欠点、タイ・カッブとピート・ローズの時代を超えた比較、ナックルボーラーの育成、ホーナス・ワグナーの再評価など、記録ヲタクには興味をそそられる内容ばかり。その中でも注目するべきは以下の2項目。 一つ目は多くの紙幅を割いている投手起用。メジャーリーグ黎明期から現在に至るまで、ルールや環境の変化が投手の寿命にどのような影響を与えてきたかを調査している。そ...
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John Dewan, The Fielding Bible

著者の欄にはJohn Dewanの名前しか書かれていないが、実際にはBill Jamesが大きく関与している。 実は野球の守備に関する統計は、ここ130年ほど進化していなかった。すなわち、試合数、刺殺、補殺、失策、守備率といった野球の黎明期に考えられた指標が惰性で使われ続けてきた。本書は、それらに代わる新たな守備指標を整備しようという野心的な試み。主に以下の4つの指標が用いられる。Relative Range Factor以外は地道な画像分析を基に算出した数値なので個人で検証...
diary

野球のOR

完全に時期を逸してしまった気もするが、鳩山由紀夫前首相の野球のORを読んでみた。まだセイバーメトリクスもほとんど普及していない1979年の論文でありながら、野球の数理的解析に手を出していたという目の付け所は素晴らしい。政治家としてはともかくとして、研究者としては優秀だったことが良くわかる。 論文の柱となっているのは、セ・リーグの現役の全打者の通算成績から出塁率、四死球率、単打率、二塁打率、三塁打率、本塁打率だけを抜き出して、リンゼイ・パルマーモデル相当のものを再構築してしまお...