politics

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笠虎崇, サラ金全滅 過払い金バブル狂乱

2010年6月の貸金業法改正にまつわるドキュメンタリー。 状況証拠を積み重ねているだけに過ぎないが、過払い金返還請求やグレーゾーン金利撤廃といった一連の施策が、増えすぎた弁護士や経営の苦しい銀行を救済するためのものであるという指摘はおそらく正しいのだろう。 アイフル出身の著者の考えるサラ金のあるべき姿は、やや懐古主義的に感じられるものの、一聴の価値がある。対面審査、対面融資、対面返済を条件に高金利を認めることで、多重債務者へのカウンセリング機能を持たせるという考え方は興味深い...
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町山智浩, アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

キャッチーな表題通りの内容。米国の社会、経済、宗教、政治などの諸問題を面白おかしく。 冗談の様に見えつつも嘘でもないエピソードが多いが、ソース不詳のネタも多いので話半分に。気取らない文体で気楽に読めるエッセイ集としては悪くない。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ

アメリカが抱える問題は数多くあるが、それらをすべて貧困という切り口で扱ったルポタージュ。 映画 "SiCKO" で有名となった医療費の問題、国民病とも言える肥満問題、災害による経済難民問題、貧困の連鎖の犠牲者となる若者たち、戦争の民営化の犠牲者となるワーキングプア、すべてが貧困と密接な関係がある。 米国に拠点を置く著者らしく、豊富なインタビューも魅力。
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青砥恭, ドキュメント高校中退 いま、貧困がうまれる場所

著者は公立高校の教諭出身の研究者であり、豊富なフィールドワークによる実例が並べられている。あまりにリアルな高校中退の実例の数々は、読むだけで虚しさがこみ上げてくる。 高校中退によって生じる貧困は、決して本人だけの問題ではなく環境要因が大きいことが良くわかる。家庭の事情により基本的な生活習慣を確立することができず、小学校低学年で勉強について行けなくなり、そこからの復帰手段がないままずるずると高校中退となる多くのケースを見せられると、著者の主張するサポート体制の強化や高校の義務教...
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城繁幸, たった1%の賃下げが99%を幸せにする

年功序列による職能給制度の批判本。 富士通の人事部出身だけあって、大企業が年功序列を維持することの弊害は見事に描かれている。対策としての職務給の導入も避けられず、好むと好まざるにかかわらずに多くの企業がそちらに舵を切ることになるだろう。 少子化や農村の衰退の主要因までを雇用制度に求めるのは少し飛躍しすぎていると感じるが、これは少し説明が不足しているためかもしれない。
comic

青木雄二(原作), 佐藤量(作画), 桃源郷の人々 淀川河川敷のユートピア

青木雄二の後期の小説をマンガ化したもの。 他の作品と比べると設定がややマンガ的に過ぎるが、ディティールの書き込みがそれを感じさせない。 資本主義社会の否定など、青木雄二の思想が強く出ているのも見逃せないところ。
book

高橋洋一, 日本経済のウソ

帯に踊る "勝間和代氏推薦!!" の文字に一瞬怯んだが、内容は真っ当。 長らく続いている日本のデフレ状況について、その原因を日本銀行の失敗に求める。日本銀行は意図的に-1~0%のデフレを作り出しているという説は、その真意はともかくとして状況証拠は十分。
book

高橋洋一, さらば財務省! 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別

高橋洋一が小泉・竹中改革に携わっていた頃の話が中心。まさに "抵抗勢力" との対立真っ盛りの時期を描いているので、官僚システムの負の部分がよく分かる。 当時の大きな動きの原因と結果を直接的に繋げて見せてくれるので非常に読みやすいのだが、それが逆に他の多くの要素を切り捨ててしまっていないかが気になる部分がある。あくまで高橋洋一個人の視点からの回顧であることには注意が必要。
book

清水浩, 脱「ひとり勝ち」文明論

電気自動車Elicaの開発者による本だが、技術よりももう少しメタなお話。 あまりに良いことばかりが書いてあるのでつい疑ってみたくなるが、納得させられる部分も多い。脱「ひとり勝ち」の考え方は、本書中でも触れられている通り、のストーリーに通じるものがある。
diary

Bechtel International Centerの掲示板

たまに前を通るBechtel International Centerの掲示板にこんな張り紙が貼ってある。 中国漁船衝突事件が発生した後に少し後に初めて発見したときは何も書き込みがされていなかったと記憶しているが、そのあと少しずつコメント (?) が加わってこんな姿に。 ネットの掲示板とは違うのんびりしたペースで炎上していく様子は何だか新鮮に感じる。